脳のエネルギー源には、どのようなものがあるか。健康・科学専門のジャーナリストであるマックス・ルガヴェア氏と医師のポール・グレワル氏は「一般的に知られている『ブドウ糖』は活性酸素を生み、多すぎると老化や脳の疾患を引き起こす。エネルギー源を『ケトン』に代えるとダメージを抑えることができる」という――。

※本稿は、マックス・ルガヴェア、ポール・グレワル『脳が強くなる食事 GENIUS FOODS』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

オフィスでケーキを食べる女性
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ブドウ糖はダメージ物質を生み出す

脳の燃料の1つであるブドウ糖は、多くの点でガソリンに似ている。このブドウ糖は、私たちが摂取する炭水化物を介して血液中に入る。

炭水化物を頻繁に摂っていると、ブドウ糖が脳の主要なエネルギー源となる。そしてミトコンドリアは細胞内でこのブドウ糖から、酸素を使った複雑な燃焼メカニズムによってエネルギーをつくりだす。このプロセスは「好気性代謝」と呼ばれ、私たちが知るとおり、それなしで生きることは不可能だ。だがガソリンと同じく、代謝は高い代償を払う。つまり排気ガスだ。

ブドウ糖による代謝の副産物の1つは「活性酸素」、あるいはフリーラジカルと呼ばれる物質だ。こうしたダメージ物質が生まれるのは正常な作用であり、生きていく上で避けられない側面でもある。

理想的な状態であれば、私たちにはこの有害なフリーラジカルを除去する力がある。だがフリーラジカルがどんどん増えると、それを除去しきれず、ダメージのプロセスが連鎖的に始まる。そして老化や、それに関連する症状を誘発する。てんかんやアルツハイマー病、パーキンソン病、MS、自閉症、そしてうつ病もまた、酸化ストレスが脳にはびこって疾患のプロセスを促進している状態なのだ。

この、いわば生物学的な化石燃料ともいえるブドウ糖に代わるエネルギー源が、ケトンだ。より「クリーン」に、より効率よく、より長く燃焼できる。そして偶然にも、それは私たちのすぐそばにある。