※本稿は、マックス・ルガヴェア、ポール・グレワル『脳が強くなる食事 GENIUS FOODS』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
「一時的なストレス」は細胞を活性化する
時を戻して、子どもの頃に発揮していた回復力を取り戻せるとしたら?
私は、できるかもしれないと思っている。長らく一般常識や医学書が危険視してきたもの――つまりストレスを利用して、停滞に対抗するのだ。
さて、あなたが面食らうあまり、もうついていけないと言いだす前に、説明させてほしい。
ストレスには2種類ある。1つは慢性的なストレスだ。これは、たとえば仕事の問題、人間関係の悪化、長引く経済的困窮、そして私の友人でフィットネス作家、そして類いまれなるアスリートでもあるマーク・シソンが言うところの「常習的な有酸素運動」などで生じるストレスだ。この種のストレスは、エントロピーと衰退を加速させる。つまりコルチゾール値の上昇が長引き、結果的に筋力が奪われ、体脂肪がお腹に再分配され、脳の大切な部位が萎縮し、果ては老化が加速する。
もう1つのストレスは、一時的な(短期間の)ストレスだ。これはストレスの意味合いがまったく違う。このストレスはエントロピーと闘うための、とびきり威力のある武器になるかもしれない。このタイプのストレスには、たくさんの形がある。たとえば楽器を練習するとき、難易度の高いリアルなゲームをプレイするとき、難しい講義をじっと座って聴講しているときなどの、忍耐力を要する精神的ストレスかもしれない。または運動や短期的なファスティング、過酷な気温、ある種の「ストレスフル」な食べ物による肉体的ストレスかもしれない。
私のお気に入りの言葉の1つに「ホルミシス」がある。これは短期的なストレス、たとえば激しいトレーニングをしたり、サウナでいい汗を流したり、一時的にカロリー制限(断続的なファスティング)をしたりすることで細胞が活性化し、それが長期的な健康を促すメカニズムだ。大きなストレスにどっと襲われたらダメージをこうむりかねないが、小さなストレスの場合は、細胞がそれに適応して強くなる。
では、このホルミシスの力をどうやって活用すれば認知能力が最大化し、強く長く生きられるのかを探っていこう。