抗がん剤となる植物の防御物質もある
植物の防御物質としてよく知られるもう1つの成分は、グルコシノレートだ。
グルコシノレートはブロッコリーやキャベツ、ケールなどアブラナ科の野菜に豊富に含まれている。そのなかでもトップクラスと言われるのがブロッコリーの新芽で、成長したブロッコリーのつぼみに含まれる量の20~100倍も含まれている。ブロッコリーやその新芽を咀嚼すると、そのなかの酵素がグルコシノレートと混ざり合って、口のなかで「スルフォラファン」という新たな成分が生まれる。
あなたが昆虫ではないことをダーウィンに感謝しよう。なぜかというと、もし昆虫だったら、スルフォラファンは毒になるからだ!
だが人間の場合、スルフォラファンは抗がん剤になる。また、抗酸化作用の経路であるNrf2を活性化し、グルタチオンの量産も促してくれる。
動物実験では、炎症性の強い毒素の影響を受けていても、スルフォラファンが脳の炎症を直接抑えてくれることが、繰り返し証明されている。そのためスルフォラファンは、脳の過度の酸化や炎症とつながりのあるパーキンソン病やアルツハイマー病、外傷性の脳の損傷、統合失調症、うつ病の治療薬や予防薬としての効果を見込まれて、研究が行われている。若者を対象にした興味深い研究では、スルフォラファン(ブロッコリースプラウトから抽出した)が、中等度から重度の自閉症の症状を大幅に軽減することがわかった。だがスルフォラファンによる治療が終わると、この効果は弱まった。
さて、適切なストレスは、あなたの友だちだということが、これでわかってもらえたと思う。こういったポジティブなストレッサーは、頑健な脳と身体をつくるためには欠かせない働きをもたらしてくれる。だが、このようなストレスにリスクがないわけではない。
何を試すにしても、身体に聞くことを忘れないでほしい。それでも、ゆっくり慎重に身体に抵抗力をつけていけば、いくらもしないうちに、あなたは自分がどれだけすばらしい人間かを知るだろう。