スマホを制限するだけで睡眠時間が長くなる

中国の研究ですが、4週間スマホを制限するグループ(19名)と制限しないグループ(19名)で睡眠の比較を行ったところ、制限しないグループと比べて、スマホ制限グループは睡眠時間が長くなり、寝つくまでの時間が短くなったという結果でした。

しかしわたしは、たとえば寝るときにスマホを別の部屋に置く、あるいは電源をオフにすると、不安になってかえって眠れなくなる人が一定数出てくるのではないかと疑っています。アラームにスマホを使っている人なら「起きられなかったらどうしよう」「緊急の電話が来たらどうしよう」と、不安になる人もいるでしょう。

そもそも枕元にスマホがないだけで落ち着かないというスマホ依存傾向、「スマホが安定剤」という人は、少なくないはずです。スマホの使用が睡眠にあまり影響を及ぼさないのではないか、という説もあります。

テーブルの上の単一の携帯電話
写真=iStock.com/Farknot_Architect
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たとえば、現代の20~30代前半の若者は、おそらく寝る前もスマホを見ているはずです。ところがビデオリサーチと電通による調査で、若い世代の睡眠時間がこの10年間に1割程度増え、約8時間になったことがわかりました。夜出歩くことが少なくなり、就寝時間が早まったこともありますが、横になってスマホを見ながら眠ってしまう「寝落ち」の可能性が考察されています。

スマホの「夜間モード」はほとんど意味がない

スマートフォンには、夜間モードという機能があります。夜になると自動的に暗めの暖色系の色調に切り替わります。睡眠や体内リズムに悪いと言われる、LEDから発せられるブルーライトを弱める目的です。わたしも夜間モードはオンにしていて、そこそこ効果はあるのかなと思っていました。しかし最近の研究では、睡眠にプラスとなる効果は低いようです。

2021年に発表されたアメリカ、ブリガムヤング大学の論文によれば、夜間モードをオンにしたユーザーと、夜間モードをまったく使わなかったユーザーの間に、睡眠の違いはなかったことがわかりました。

この研究では、iPhoneを用いています。18歳から24歳の成人を対象に、夜間モードをオンにしたユーザー、夜間モードをオフにしたユーザー、寝る前にスマートフォンをまったく使わないユーザーの3つのグループに分けました。参加者には、ベッドで8時間以上過ごしてもらい、ウェアラブル機器を装着して睡眠習慣を記録したところ、この3つのグループの間で、睡眠の質や睡眠時間に違いは見られませんでした。

次に参加者を平均睡眠時間が7時間の人、6時間未満の人の2グループに分けました。その結果、スマホを使用しない7時間睡眠グループの参加者は、スマホ使用者に比べて質の高い睡眠を得ていました。また、6時間未満睡眠のグループでは、睡眠の違いは見られなかったとのことです。この結果から、夜間モードを使っても差がないこと、スマホはやはりオフにしたほうが睡眠の質が上がることが実証されました。

寝る前のスマホ使用は、夜間モードをオンにしようが、やはり脳や睡眠にはよくないようです。