全国民がかかわる国民年金について、厚生労働省は納付期間を60歳から65歳まで5年間延長する案を検討している。ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さんは「保険料負担が増えるのではないかと心配している人がいるが、サラリーマンにはメリットしかない」という――。
年金手帳と俯く人形
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納付期間の「5年延長案」が話題に

2025年の年金改正に向け、厚生労働省が議論の土台となるオプション試算案を公表しました。中でも、国民年金の保険料拠出期間を40年から45年へと、5年間延長する案(以下、5年延長案)が話題になっています。

ニュース番組では「1人あたりの負担100万円増?」などと報道され、肯定的な意見よりも批判的な意見が多く聞こえてきますが、もし実現すれば、メリットの多い制度改正になるのではないかと考えています。

オプション試算とは、一定の制度改正を仮定して試算をするもので、財政検証結果と併せて厚生労働省が公表します。財政検証とは、長期にわたる年金財政の、健全性をチェックするために行われる健康診断のようなものと言われています。今年はその財政検証の年に当たり、厚労省は財政検証を基に年金制度改正案を年末までに詰め、2025年の通常国会に関連法案を提出するという流れになります。

日本国民全員に影響する国民年金

冒頭に述べた国民年金保険料の5年延長案は、「厚生年金のさらなる適用拡大」や「在職老齢年金の見直し」など、複数の試算案のうちの1つです。まだ何も決まっていない段階ではありますが、この延長案は2014年検証でも2019年検証でも取り上げられており、今度こそは実現するかもしれず、どのような変化があるのかを見ていきたいと思います。

日本の公的年金制度は、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員が加入する国民年金(基礎年金)がベースとなり、会社員や公務員などのサラリーマンはさらに厚生年金に加入する2階建てになっています(図表1)。