マンション価格が上昇する中、住宅ローンの組み方が重要になっている。ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さんは「首都圏のパワーカップルを中心にペアローンの利用が増えている。しかし、夫婦で住宅ローンを借りる場合には3つのリスクに注意しなければならない」という――。
住宅の問題について話すカップル
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「2人分の年収」で高額ローンが可能に

住宅を購入する際、ほとんどの人が住宅ローンを利用します。これまでは世帯主が単独でローンを組むのが一般的でしたが、最近は共働き世帯の増加にともなって、ペアローンを利用する人の割合が増えています。

ペアローンとは、一つの物件に対し、夫婦それぞれが契約者となって住宅ローンを組む方法(※1)で、特に、若い年代における注目度が高いようです。

住宅ローンを借りる際の審査項目の一つが年収です。年収に対して借入希望額が過大だと、審査に通らないか、借入額を減らさざるを得なくなります。単独でローンを組むより、ペアローンのほうがより高額の借り入れが見込めます。物件の選択肢が広がることは大きな魅力でしょう。

※1 親子で住宅ローンを組む親子ローンもある

共働きパワーカップルの利用率が高い

実際、新築マンションの価格が高額化している首都圏でその傾向が顕著です。「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査(※2)によると、「世帯主と配偶者(パートナー)のペアローン」は33.9%と、2018年以来最も高い水準となっています。「夫婦のみ世帯」に絞ると54.0%、「既婚・共働きで世帯年収1000万円以上」の世帯にいたっては76.5%と、ペアローンが圧倒的な存在感を示しています。

「共働きは当たり前」「夫婦は対等」との意識を持つ若年世代にとって、ペアローンは今後益々有力な選択肢となってくると思われます。今回は、「ペアローンそのものに潜むリスク」と「ペアローンとセットで契約する団体信用生命保険(団信)の落とし穴」について見ていきます。

ペアローンは、夫婦それぞれが債務者となり、お互いが相手の連帯保証人になる契約形態です。それぞれ個別の契約ですから、諸費用(印紙代や事務手数料、登記費用等)が2本分かかります。

物件は2人の共有名義になりますが、借入額の割合と拠出した頭金の額を考慮して持分割合を登記します。負担の実態と登記の内容が異なると、贈与税が発生する可能性がありますので気を付けてください。

※2 株式会社リクルート/SUUMOリサーチセンター調査報告書