収入を安定して維持できるとは限らない

ここから、夫婦で住宅ローンを借りる場合の3つのリスクを見ていきます。

①借り過ぎリスク

単独でローンを組むより高額の借り入れができるというメリットは、裏返すと「借り過ぎリスク」につながります。現在の夫婦の収入が将来も継続するという前提で借り入れをすると、出産や転職、失業、病気などで収入が不安定になったり、子どもの教育費が予想外に膨らむなど、不測の事態に遭遇した途端、家計収支が危うくなってしまいます。

返済期間と自分の年齢を重ね合わせ、完済までにどのようなライフイベントがあるのか、夫婦のキャリアと収入はどうなっていくのかなど、リスク管理の観点からも十分に話し合って、納得のいく結論を導いてください。

離婚した場合、手続きがかなりややこしい

②離婚のリスク

次に考えたいのが離婚のリスクです。単独の契約であっても、住宅ローンの存在が離婚時にネックとなることが多いのですが、夫婦2人のローンだとさらに複雑になります。

いずれのタイプのローンも、債務者や連帯保証人、連帯債務者という形で、夫婦そろって金融機関に対する責任を負っています。離婚の話し合いの際、「ローンは私(夫か妻)が払う」と言ったとしても、金融機関への責任は免れません。金融機関と交渉して連帯保証人や連帯債務から外してもらう必要があります。

保証人を外れたいのであれば、信用のある別の人に連帯保証人になってもらうとか、連帯債務から抜けたいなら、新たな連帯債務者の候補を見つけるといったことが考えられますが、認めてくれるかどうかは金融機関次第です。

どちらか一方を名義にする住宅ローンに借り換える方法もありますが、収入合算で借りていると、1人の収入で審査に通るのかという問題があります。自宅を売却して、住宅ローンを完済する方法もありますが、売却価額がローン残高を下回るときには、自宅を売却したとしても、ローンは残ってしまいます。そもそも共有名義なので、双方の合意がないと勝手に売却することはできません。

夫婦で住宅ローンを組むことのリスクを十分理解したうえで、利用するかどうか、利用するならどのようなタイプを選ぶかなど、慎重な判断が求められます。