「気軽にすぐ買える」に潜む落とし穴
オンラインモールやフリマサイトは、自宅に居ながら自由に買い物ができる便利な空間です。総務省の「令和3年 情報通信白書」によると、インターネットショッピングを利用したことがある人は73.4%に上り、日本人にとって当たり前のことになりつつあります。
欲しい物をAmazonや楽天市場、メルカリなどで検索して買う、SNSで流れてきた広告から公式サイトに移動して買う、といったことを多くの人が経験しているかと思います。その一方で、悪質な業者や公式サイトのように装った「偽サイト」「詐欺サイト」が登場し、届いた商品に問題があったり、交換や返品しようとしても販売業者と連絡が取れなかったりするトラブルも発生しています。
本稿では、こうした買い物トラブルを回避する方法のほか、もしトラブルに遭ったらどう対応すべきかについて解説します。
国民生活センターなどに寄せられた「表示・広告」に関する相談件数のうち、既存の広告媒体の相談は横ばいで推移していますが、電子広告の割合は増加傾向にあります(図表1)。
相手の顔が見えないSNSだからこそ危ない
特にSNSが関係する消費者相談は年齢層を問わず増えており、2023年度は過去最多の8万404件となっています(図表2)。
相談内容は、SNS上の広告だけでなく、SNSでの勧誘がきっかけでトラブルになったり、SNSで知り合った相手との個人間取引でのトラブルなど、さまざまです。
SNS上で「話が合う」と思って友人になったつもりでも、お金を支払った途端、連絡が取れなくなることもあります。大幅な値引きや低価格をうたったり、商品の効果を過剰に強調する広告や、「簡単にもうかる」「会いたい」などの投稿やメッセージは要注意です。
ネットショッピングのトラブルから消費者を守るため、2022年5月に「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」が施行されました。
「取引デジタルプラットフォーム(取引DPF)」とは、ショッピングモールのように、さまざまな販売業者がサイト上に出店する消費者取引の場のことです。ネットオークションサイト、出前サイト、宿泊予約サイト、クラウドファンディングなども対象です。