いつも周囲に助けてもらえる人には、共通する特徴があった。誰からも手が差し伸べられる「徳」の正体とは何か。敵対する人すら協力者に変える、科学的に裏付けられた秘密とは。

困った人がいれば助けたくなるのはなぜか

その長い歴史において、人類は猛獣のような爪や牙を持つことがなかったので、お互いに協力することで生き延びるしかありませんでした。お互いに協力し合って狩りをしたり、農耕をしたりすることでどうにかこうにか生きてきたのです。

そのためでしょうか、現代に生きる私たちにも「お互いに助け合う」という遺伝子がしっかりと受け継がれています。人間が「社会的動物」と呼ばれるゆえんです。

困った人がいれば助けてあげないと、どうにも居心地が悪く感じますし、見て見ぬふりをすると何だか悪いことをしているように感じるのはそのためです。人間にとっては「困った人がいれば助ける」ということがデフォルト設定(初期設定)されているのです。

困っている人がいれば助けたいという気持ちになることを、心理学では「アンダードッグ効果」と呼びます。

「アンダードッグ」というのは“川に落ちてしまった犬”のことを指します。つまり、悲惨でかわいそうな状況にある人ほど他の人からの援助を受けやすいのです。

この現象は、科学的な実験でも確認されています。

米国ハーバード大学のニール・パハリアらの研究によると、「情熱をもって、ものすごく頑張っているのに、外部的要因によって業績が悪い(かわいそうな)会社」と「とりたてて何の努力もしていないのに業績の良い会社」のシナリオを作って読んでもらい、「あなたはこの会社が作っている商品を買いたいと思いますか?」と尋ねる実験をしてみました。

その結果は、ご想像の通り「商品を買って助けてあげたい」という答えが多かったのは、前者の「かわいそうな会社」でした。

(Paharia, N., Keinan, A., Avery, J., &Schor, J. B. 2011 The underdog effect:The marketing of disadvantage anddetermination through brand biography.Journal of Consumer Research, 37, 775-790.)

【図表1】人はどんな会社の商品を買うか?【図表2】「かわいそうな会社」の商品は誰のために買うか?

もちろん、困っていればだれでも助けてもらえるのかというと、そうではありません。中には助けてもらえない人もいます。