「自分ならうまくいく」と暗示をかけてしまう

不安な人が行動をためらってしまうのは、「うまくいかない」と思い込んでいるからです。何をしてもうまくいかないと思っていれば、行動を躊躇してしまうのもしかたがありません。

こういう人には、自己暗示も効果的です。

「私ならうまくいく」
「絶対に成功する」

などと自己暗示をかけてみるのです。自己暗示をばかばかしいといって切り捨ててしまう人もいますが、自己暗示は数多くの研究でその効果が確認されている、非常に有効な方法です。

ドイツ・ケルン大学のライサン・ダミッシュ氏は、ゴルフ未経験の学生を集めて、1メートルの距離からゴルフのパッティングをさせるという実験をしてみました。

暗示をかけるグループには、ボールを手渡すときに、「このボールは、これまでの参加者にも使ってもらっているんだけど、とてもパッティングが成功しやすい幸運なボールなんだよ」とインチキなことを告げてから渡しました。

比較のための条件(コントロール条件)のグループには、「このボールは、参加者全員が使うボールです」とだけ告げて渡しました。

パッティングは一人10回ずつやってもらい、カップインした回数は図表1のグラフのようになりました。

「なるほど、私の使うボールは幸運なボールなんだな」と暗示をかけられたグループのほうが、本当にパッティング能力が向上していることがわかりますね。暗示には、本当に効果があるのです。

不安が強くて、行動をためらってしまっている人は、まず自分に暗示をかけてみてください。先ほど紹介したジンクスも、いってみれば自己暗示です。「○○したら、何でもうまくいく」という暗示を自分にかけてしまえば、躊躇せずに行動することができるようになりますよ。

「ありがたい」を口ぐせにして抑うつを解消

私たちは、気分が落ち込んでいるとき、いわゆる「抑うつ状態」のときには、何もする気が起きません。うつ病にかかった人が、ダラダラしているように見えるのは、そのためです。

うつ病の人に対しては、「おい、辛気くさい顔をしていないで、元気出せよ!」などと励ましてはいけません。本人だって、元気を出したいのです。ところが、気分が落ち込んでしまって、元気を出したくとも出せないのです。

もし抑うつのせいでダラダラしてしまうのであれば、その抑うつ感をどうにかすることを考えましょう。

本当にうつの度合いが大きいときには、すぐに医者に診てもらうことをおすすめしますが、ほんのちょっとした抑うつ程度であれば、本人の心がけで改善させることも難しくありません。

1つの方法は、感謝。

自宅の寝室で手を合わせる老人
写真=iStock.com/FG Trade Latin
※写真はイメージです

どんなことに対しても、「ありがたい」「ありがたい」と口ぐせのようにつぶやくようにしていると、不思議なことに抑うつ感は抑制されていくのです。

ルーマニア・ティミショアラ大学のボグダン・タルビューレ氏の調査では、何事にも感謝する人のほうが、抑うつになりにくいことが確認されています。

タルビューレ氏はまた、宗教的な人も抑うつになりにくいことを突き止めていますが、その理由は、たいていの宗教では、「感謝の気持ち」が説かれているからです。