親が発達障害だった場合、その子どもの人生は過酷になりやすい。精神科医の益田裕介さんは「発達障害の親のもとで育った子は『カサンドラ症候群』になりやすく、複雑性PTSDを発症しやすいことがわかっている。ひとりで悩まずに、精神科や心療内科を早めに受診してほしい」という――。(第3回)

※本稿は、益田裕介『精神科医が教える 親を憎むのをやめる方法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

床に座る少年
写真=iStock.com/Imgorthand
親が発達障害の傾向を持つ場合、家族にはしばしば問題が起こる(※写真はイメージです)

発達障害とはそもそも何か

発達障害とは、先天的な脳の機能発達の偏りによって、コミュニケーションや対人関係など、日常生活に困難が生じる状態です。

発達障害には、いくつかの種類があります。

自閉スペクトラム症(ASD):コミュニケーションが苦手、相手の気持ちを考えられない、こだわりが強い、過集中、感覚過敏、など
注意欠如多動症(ADHD):不注意、忘れ物が多い、衝動性が高い、じっとしていられない、など
限局性学習症(LD):他のことはできるのに文章を読むのが苦手、文字が書けない、計算ができない、など

ASDとADHDは、しばしば同時に現れます。

人の気持ちを読むのが苦手というASD的傾向のある人が、忘れ物癖や衝動性といったADHD傾向も持っているケースもよくあります。

「親が発達障害」で家庭に問題が起こる

親が発達障害の傾向を持つ場合、家族にはしばしば問題が起こります。

ASD受動型の親は、家庭や家族への関心が薄いことが多いようです。

ネグレクト(育児放棄)をする親にはASD受動型がよく見られます。