親という「役割意識」が乏しい

発達障害の親に共通して見られる特徴として、「自分は夫/妻である」「父親/母親である」という「役割意識」が乏しいことがあげられます。

発達障害の親に見られる、ある種の未熟さは、人間を理解する力の乏しさとイコールです。

彼らは人に騙されやすく、子どもの嘘を真に受けることもあります。

「カサンドラ症候群」とは何か

「カサンドラ症候群」とは、発達障害者のそばにいる人が、コミュニケーションに悩んで、心身の不調をきたすことを指します。

ちなみにこれは正式な医学用語ではありません。あえて診断名をつけるなら、適応障害が妥当なところでしょう。

カサンドラ症候群には、気分の落ち込み、無気力、言葉数が少なくなる、自分は価値のない人間だと感じる、などの症状が知られています。不眠や食欲不振といった身体症状が出ることもあります。

先ほど述べた、寂しさを埋めるために子どもに依存してカウンセラー代わりにする母親は、まさにカサンドラ症候群に典型的な状態です。

「子どもカサンドラ」のつらさは周囲に理解されない

カサンドラ症候群になるのは大人だけではありません。親が発達障害の場合、その子どもがカサンドラ症候群に苦しむことがあります。

子ども時代に精神科を受診せず、大人になってから受診し、ようやくカサンドラ症候群だと判明するケースも珍しくありません。

「母とは会話もスキンシップもない」
「父に東大進学を強制されて夜通し勉強させられる」

といった悩みをカサンドラ症候群の子どもは抱えています。

しかし、なかなか周囲には理解されないようです。

暗闇の中で勉強している小学生
写真=iStock.com/selimaksan
「父に東大進学を強制されて夜通し勉強させられる」(※写真はイメージです)

発達障害は傍目には見えにくいものです。

周囲は発達障害の親のことを「教育熱心なお父さん」などと思いがちです。発達障害の親を持つ子どもが、その被害にあっていても、周囲からのサポートを得られず、放置されるケースが多いのです。

その場合、子どもは「みんな親に我慢しているのに、自分は甘えている」などと、自分にこそ原因があるかのように考えてしまうのです。