老親の問題行動には、どう対処すればいいのか。精神科医の益田裕介さんは「老年期に見られる『遅発パラフレニー』といった精神疾患、もしくは認知症の前駆症状の可能性がある。老年になって発達障害の特性が強く現れることもあり、手厚いケアが必要」という――。(第2回)

※本稿は、益田裕介『精神科医が教える 親を憎むのをやめる方法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

頭痛に苦しんでいる年配の女性
中高年期に突然妄想が出現する「遅発パラフレニー」(※写真はイメージです)

老いた親が陰謀論を信じてしまう理由

親が老年期に差し掛かり、とまどいを感じている方もいると思います。

かつて問題行動が目立った親が「丸くなっていく」こともあれば、昔は折り目正しかった親が、急におかしな言動を示すこともあります。

そうした言動が、ネットとの付き合い方で生まれる場合もしばしばあります。

ネット上のフェイクニュースや、怪しげな陰謀論を頭から信じてしまうといったケースは、最近よく見聞きします。

なぜ信憑性の薄い情報に振り回されてしまうのか。その原因はさまざまです。

ネット上の情報は玉石混交

人間や社会についての理解が低いのかもしれません。

他者との交わりが少ない場合も考えられます。

ずっと家で子育てだけをしてきた親や、狭い業界で変化のない仕事を黙々とこなしてきた親もいるでしょう。

社会にインターネットが普及しはじめたのは2000年ごろの話です。

親世代がインターネットに順応できていなくても、それは当然のことです。

ネット上の情報は玉石混交です。その中から有用なものだけを選ぶスキルが必要ですが、それが不得手であっても仕方ありません。