営業マンが最優先すべき仕事とは何か。プロセスコンサルタントの山田和裕さんは「自動車販売店の統括責任者が、首都圏30店舗の行動パターンを調べた結果、業績の良い店は『集客作業』、悪い店は『勉強会』や『清掃』に時間を使っていたことがわかった。当たり前のことを当たり前にやれば、業績は上向く」という――。

※本稿は、山田和裕『1000人のトップセールスをデータ分析してわかった 営業の正解』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

車のショールームで2人のビジネスマンの握手
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トップセールスは「当たり前のこと」をやっている

私は結果を出すための営業プロセスの標準化・見える化を行うために、大手〜中堅企業を中心に、1000人以上のトップセールスにヒアリングをしてきました。

そんな「できる営業」が挙げた一番多い答えは何だと思いますか? それは「当たり前のことを、当たり前にやっているだけ」というちょっと拍子抜けするような言葉でした。

実はトップセールス自身もなぜ売れているのか、よくわかってないケースが多いのです。スポーツと同じように、営業にかぎらず「できる人」のノウハウの言語化が難しいことは共感していただけると思います。

表面的な話だけで止めずに、さらに「当たり前のこと」を具体的なプロセスに分けて、一つひとつ掘り下げていくと、まったく別な会社のトップセールスが、営業のポイントとして、似たような話をしたり、例を挙げたりすることに気づきました。

これが、できる営業には業種や業界に関係なく共通する特性があることに気づいたきっかけです。

「当たり前のこと」の中に、トップセールス本人も意識していない秘密が隠されています。その「当たり前のこと」をわかりやすい具体的な表現に置き換えると、意外と気づいていないが、誰にでもできそうなちょっとした違いが浮かび上がってきます。

それを成功特性としてまとめると、悩める営業の参考になるのではないかと考えるようになりました。

成功特性と言っても、一つひとつから生まれる「差」は、ほんのちょっとです。一つの成功特性だけでは、大きく結果は変わってこないかもしれません。ところが、それがいくつも積み重なっていくと、かなり大きな差になって表れます。営業のレベルはトップとボトムでは、同じ人間とは思えないくらいに違うのです。

しかし、それはもともとの才能や素養ではありません。一般的な言い方をすると「努力」ですが、科学的な言い方をすると「結果を出すためのプロセス=営業の正解」が徹底できているかの差です。