日本のビジネスパーソンは諸外国に比べ「学習」をしない。なぜなのか。パーソル総合研究所の小林祐児・上席主任研究員は「これは日本人が怠けているからではない。日本人は与えられた環境の中で主体的に働く『中動態』的にキャリアを形成してきた。そのことが諸外国との違いにあらわれている」という――。(第2回)
最大の課題は「日本人の学ばなさ」
現在、世界的に一大潮流となっている「リスキリング」。しかし、日本には、リスキリング推進にとっての最大とも言える課題が存在します。それは、この国のビジネスパーソンは学びの習慣が極めて薄弱だということです。国際的には「勤勉」のイメージで知られる日本人は、社会人になったとたん、国際的に圧倒的に「学ばない国民」と化します。しかも、一部のデータからは学びの量はここ数十年間でどんどん減っている様子さえ見られます。
そのため、行政や企業がいくらリスキリングの機会や補助金などを提供したところで、多くの日本人は関心すらもちません。まさに「笛吹けども踊らず」。日本のリスキリング課題のかなりの部分は、この問題に集約されます。
まずは日本人の「学ばなさ」の実態を、パーソル総合研究所による最新の国際調査で確認してみましょう。一目瞭然ですが、読書や大学院まで、ビジネスパーソンの学習行動を聴取すれば、日本は「何もしていない」が圧倒的に高くなっています。何もしていない人の割合は、世界平均で18.0%ですが、日本は52.6%でした。ちなみに、図のデータは性別・年代の割合を各国一定にして比較しています。
さらに他のデータからは、年齢を重ねるごとにそうした学習行動は低くなっていく様子も明らかになっています。