7年連続で「理想の男性上司1位」に輝いたタレントの内村光良さん。親しみやすさや優しさのイメージで選ばれた形だが、ウッチャン型上司は企業に実在するのか。また、出世することができるのか。人を見るプロである企業人事部にジャーナリストの溝上憲文さんが聞いた――。

会社に「ウッチャン上司」は実在するのか? 

企業では新入社員の受け入れ準備が佳境に入っている頃だが、そんな折、4月に新入社員になる人(1100人)に聞いた「理想の上司」のアンケート調査結果が発表された(明治安田生命、2月)。

【図表】新入社員が選ぶ「理想の上司」総合ランキング
図表=明治安田生命 「理想の上司」アンケート調査 ニュースリリースより

理想の男性上司のナンバー1は、ウッチャンことタレントの内村光良さん、2位が俳優の桜井翔さん。理想の女性上司ナンバー1は日本テレビアナウンサーの水ト麻美さん、2位は昨年も2位の俳優の天海祐希さんだった。ウッチャンと水卜アナはいずれも7年連続1位で、盤石の存在だ。

なぜ、ウッチャンが理想の上司のトップに選ばれたのか。

その理由で最も多かったのは「親しみやすい」で52.5%、2番目が「優しい」(20.2%)、3番目が「頼もしい」(13.1%)だった。新入社員は親しみやすくて優しい像を求めていることがわかる。

実は第2位にランクした桜井翔さんを選んだ理由は少し異なる。「頼もしい」(22.4%)という点では共通しているが、最も多い理由は「知性的・スマート」(46.6%)、3番目が「実力がある」(12.1%)だった。

その傾向は理想の女性上司でも同じだ。トップの水トアナを選んだ理由のベスト3は「親しみやすい」(43.2%)、「優しい」(16.1%)、「明るい」(14.8%)。2位の天海祐希さんを選んだベスト3は「頼もしい」「姉御(肌)」「知性的・スマート」だった。

新入社員の理想の男性・女性上司像は、「親しみやすく、優しい上司」を求める傾向がある一方で、「知性的・スマート」かつ「実力がある」上司も人気があることがうかがえる。優しい上司を求める一方で、自分が目指したい社会人として「知性派で実力のある」ロールモデルを求めていると見るとこもできる。

実は今どきの新入社員といえば、いわゆるZ世代と呼ばれる人たちだ。1996年以降に生まれた人たちで、大卒であれば2019年から新入社員として働き始めている。そのZ世代が仕事で理想とする上司も「親しみやすく、優しい上司」とほぼ共通しているのだ。

別の調査でもそれは一致している。