グーグル、マイクロソフト、メタなど米IT企業の大規模リストラが相次いでいるが2023年の日本はどうなるか。人事ジャーナリストの溝上憲文さんは「各社ともバブル期入社世代への対応に苦慮している。業界トップ企業なら割増退職金として年収3年分の上乗せができるが、中堅大手は1年分がやっと。辞めさせるには2年分ないと厳しい」という――。
失業中のビジネスの人々のシルエット
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日本に米IT企業並みのリストラが襲来する日

アメリカのIT企業の大規模リストラが相次いでいる。

フェイスブックを運営するメタが1万1000人超、アマゾンが1万8000人超の削減が話題になったが、その勢いは今年に入っても止まらない。

1月18日、マイクロソフトが従業員の5%弱にあたる1万人を解雇することを発表。20日にはグーグルが世界で約1万2000人を解雇すると発表した。超巨大IT企業に限らず、アメリカではIT企業のリストラが続いており、2000年初頭のITバブル崩壊以来の規模と言われている。

一方、日本企業のリストラはコロナ不況の20~21年は2万5000人超のリストラが実施されたが、現在は小規模のものはあるが、ほぼ無風状態といってよい。

逆にちょっとした賃上げムードに沸いているが、今年は世界的な景気減速も指摘されており、いつ日本にリストラの風が吹き荒れるのか予断を許さない状況にある。

グーグルのスンダー・ピチャイCEOは20日、リストラの理由について従業員向けのメールで「創業から約25年の企業として、当社は困難な経済サイクルを経験することになります。これらは集中力を高め、コスト基盤を再構築し、人材と資本を最優先事項に向けるための重要な時期」と説明している。

リストラの理由は、日本のリストラの典型である「早期退職者募集」のニュースリリースとさほど変わらないが、ピチャイCEOは従業員に対して以下のメッセージも送っている。

「これは私たちが一生懸命に雇用し、一緒に働くことを愛してきた信じられないほどの才能のある人々に別れを告げることを意味します。大変申し訳ございません。これらの変更がGoogle社員の生活に影響を与えるという事実は、私に重くのしかかっており、私たちをここに導いた決定について全責任を負います」

従業員に謝罪し、経営陣が潔く経営責任を認めるメッセージを従業員に発信するのは、日本企業では珍しいのではないか。少なくとも対外向けのリリースでは見たことがない。