※本稿は、森口佑介『つくられる子どもの性差「女脳」「男脳」は存在しない』(光文社新書)の一部を再編集したものです。
大多数のセクハラや犯罪が、男性によって行われている
セクシャルハラスメントや犯罪に関する報道を目にしたとき、筆者は自分が男性であることを恐ろしく思うときがあります。
もちろん、こういう言い方自体がジェンダーステレオタイプを助長する可能性があることは認識しています。セクシャルハラスメントや犯罪は、男性が加害者になるケースだけではありません。女性が加害者になることも当然あります。ただ、統計的には、大多数のセクシャルハラスメントや犯罪が、男性によって行われているという事実があります。そこで、攻撃性の入り口として、まず、犯罪について見ていきたいと思います。
今日も殺人、暴力事件、強盗、詐欺のニュースがテレビやインターネットで報道されています。殺人犯が捕まったと聞いて、女性のイメージが浮かぶでしょうか、それとも、男性のイメージが浮かぶでしょうか。
実際の事件であれ、小説やアニメなどの作品であれ、犯罪は男性によってなされることが多いような印象があります。特に、暴行や殺人などの攻撃性の高い犯罪において顕著なように思えます。
犯罪には様々な種類がありますが、一部の犯罪は明らかに攻撃的な性質を持っており、暴力的な行動や他人への害を直接的に含んでいます。たとえば、強盗や殺人といった犯罪は、攻撃性の顕著な例と言えます。
「男は攻撃的」だから、強盗や殺人を犯しがちなのか?
多くの犯罪は男性によってなされます。強盗や殺人、強制性交や強制わいせつはほとんど男性によってなされています。男性の場合、武器を使った犯罪が多いという報告もあります。
これは検挙された犯罪に限った話なので、検挙されていない犯罪も含めると多少の変動はあると思いますし、女性のほうが占める割合が多い犯罪もあるかもしれませんが、全般的に犯罪の多くは男性によってなされていることがわかります。
なぜ男性のほうが犯罪を犯しやすいかについては、攻撃性の高さだけではなく、生物学的な要因、社会的要因や環境的要因が総合的に影響してくるので、攻撃性の高さを示す1つの傍証に過ぎません。実際に攻撃性は男性において高いという証拠はあるでしょうか。