大手は3年分、中小は1年分「割増退職金」の天国と地獄

メディアに登場する大手企業の希望退職者募集の割増退職金の相場も3年分(36カ月)が多く、募集人数に対し、応募者が上回るケースも多い。しかしそれだけの金額を支給できる会社は少ない。前出の人事担当者はこう語る。

「当社の50代の年収は非管理職で800万円、管理職で1000万円ぐらいだ。しかし割増退職金で出せるのは12カ月分、つまり年収の1年分程度だ。他社でも1年分が相場だと聞いている。しかし1000万円程度では社員は会社を辞めないだろう。少なくとも2年分、2000万円を出せば自ら辞める社員も出てくるだろう。かつて老後の生活には2000万円が必要と言われたが、通常の退職金で住宅ローンの残額を支払った上に2000万円もらえるのであれば、奥さんも説得できるのでないか」

50代の社員を辞めさせたくても年収の1年分しか出せない会社が多いという。バブル期入社組が60歳定年を迎えるのは4年後だ。「このままずるずる引き延ばしてもよくないと思うが、解決策がなかなか見つからない」(人事担当者)という悩みを抱えている企業が多いのが現実だ。

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