解雇されたグーグル社員が手にする「13カ月2860万円」

アメリカは世界でも珍しい使用者が正社員をいつでも自由に解雇できる原則解雇自由の国であるが、ヨーロッパや日本は「正当な理由なき解雇は無効」とする解雇制限がある。

しかしそのアメリカでも労働組合との間で「解雇には正当な理由が必要」との「労働協約」を結んでいれば、苦情仲裁制度に申し立て、正当な理由がないと判断されると元の職場に戻れる。

失業中のビジネスの人々のシルエット
写真=iStock.com/chipstudio
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原則解雇自由のアメリカでも日本の早期退職者募集と同じように「特別退職金」を支給する企業も少なくない。

グーグルもアメリカ国内で退職する人に退職金を含む以下の役務を提供するとしている。

① 通知期間中(最低60日)は従業員に支払う。
② 16週間の給与に加えて、グーグルでの勤務1年ごとに2週間の退職金パッケージを提供し、GSUの権利規定を少なくとも16週間早める。
③ 影響を受ける人々には、6カ月間のヘルスケア、就職支援サービス、移民サポートを提供する。

通知期間中とは、「米労働者調整・再訓練予告法」(WARN法)によって大量解雇を行う場合は、60日前までに労働者に通知することを使用者に義務づけている。違反すると予告期間に足りない分の賃金を請求することに基づいたものだ。

退職金は②の部分だ。仮に10年勤務していた場合は16週+40週=56週となり、月数で13カ月分となる。ちなみにアメリカ本社の平均年収(2019年4月提出の有価証券報告書)は2648万円(1ドル約107円)。1カ月平均約220万円。13カ月で2860万円。現在は円安ドル高なのでもっと高くなるが、金額自体は日本の大企業の割増退職金と比べても決して見劣りしない。

GSUとは「グーグル・ストック・ユニット」のことで社員に付与されたストックオプションのようなものだ。