独り勝ちだった「米国AI」に立ちはだかる

足許、ソフトバンクグループ(SBG)は、米国のAI先端企業と組んで積極的な投資を行おうとしている。1月21日、同グループはオープンAI、オラクルと共同で“スターゲート計画”を発表した。また、1月下旬、オープンAIへの追加出資〔最大で250億ドル(約3兆8800億円)〕との報道もあった。孫正義会長兼社長は、トランプ政権の政策で米国のAI業界は一段と拡大すると判断しただろう。

その一方、米AI業界の優位性が揺らぎそうな変化も起きた。それは、“ディープシーク”など中国AI業界の発展だ。1月下旬、米国のアプリストアで、ディープシークのアプリダウンロード数はトップになった。ディープシークに続いて、アリババやティックトック(TikTok)親会社の字節跳動(バイトダンス)もAI事業の強化を進めている。その進捗は、大方の専門家の予想を上回っているようだ。いわゆる中華AIは、いずれ先進の米国AI企業の脅威になるとみられる。

各種人工知能AIアシスタントアプリが並ぶスマホ画面
写真=iStock.com/Kenneth Cheung
※写真はイメージです

米国第一主義のトランプ大統領にとって、スターゲート計画の成功は非常に重要だ。ただ、今後、中華AIの成長によっては、スターゲート計画の前提を崩すことも懸念される。今後、米・中を中心に世界的なAI競争が発生する可能性が高い。競争の勝者が、これからの世界経済をリードすることになるだろう。わが国も、その競争の中で存在意義を示す必要がある。

本格的にAIに参入するソフトバンク

トランプ大統領はAI分野の投資増加を重視している。同氏は規制緩和や法人税率の引き下げを表明した。発電コスト低減のため、化石燃料の増産を奨励する。トランプ氏の政策目的の一つは、“シンギュラリティー(AIが人類の知能を超越する世界)”の実現だ。

一方、SBGは、コロナ禍の発生を挟み業績は一時不安定だった。2022年頃からはテレワーク需要の一巡で半導体市況は軟化し、ITスタートアップ企業の業況も悪化した。業績の立て直しのため、孫氏はリスクテイクを抑制した。2023年9月、英半導体設計企業のアームの株式公開も実現し、中国のアリババに代わる資金創出手段を確保した。2024年7~9月期には、オープンAIに5億ドル(775億円)を投資しAI分野に本格参入する橋頭堡きょうとうほを築いたといえる。

令和7年2月3日、石破総理は、総理大臣官邸でソフトバンクグループ代表取締役兼社長執行役員の孫正義およびOpenAI社CEOのサム・アルトマン氏と面会
令和7年2月3日、石破総理は、総理大臣官邸でソフトバンクグループ代表取締役兼社長執行役員の孫正義およびOpenAI社CEOのサム・アルトマン氏と面会(写真=首相官邸ホームページ/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons