もうひとつは改革力だ。公明党は創価学会が庶民の間にもつ優れたネットワークを活用して、「痒いところに手が届く」きめ細かさが自慢であるし、堅実な制度設計にも秀でている。一方で、大胆な改革が得意かは疑問だ。

そこに強いのが維新の会で、自民党的な利権にも左派が伝統的に強い分野での既得権益にも大胆に切り込んで存在感を増している。

独自色を出したくても出せないジレンマ

創価学会や公明党にとって平和主義は最重要な柱だ。だからこそ、世界全体が軍拡に向かい、米国がこれまでほどには頼りにならず、伝統的に友好関係を維持してきた中国が日本にとってロシア以上に潜在的な脅威となった事態に戸惑っているのだろう。

信者の中に韓国や在日の人たちがいるためかはわからないが、親韓的な政治的立ち位置や歴史認識を示してきたにもかかわらず、韓国の執拗な反日アクションで、必ずしも友好につながらなかった苦い現状もある。

憲法改正では、公明党の賛同がないと発議すら難しいし、今の状況では創価学会のそれなりの支持がないと国民投票では勝てまい。だが、そこのところで独自色を強く出し過ぎると、自民党内でほかの連立パートナーを求める声も強まるわけで、ジレンマは深刻であり、さじ加減に悩んでいるように見える。

宗教と政治が交差する場所の概念。
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安保法制の際にも公明党の悩みは深かったところを、山口那津男代表の頑張りでなんとかまとめ上げた。憲法改正については改憲でなく加憲を主張しているため、「改憲勢力」と呼ぶのはそもそも不適切だし、公明党にとってもどう向き合うかはひどく悩ましいことだ。

いずれにせよ、勇退が予想された山口代表が昨年、異例の四期目の続投となったことは、様々な意味で公明党が難しい局面にさしかかっているということを象徴している。今春の選挙ラッシュに向けて、このまま堅実路線を維持するのか、あるいは党勢を盛り返すために新たな方針を打ち出すのか、が創価学会と公明党の今後を大きく左右すると言えるだろう。

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