熱心な信者数はほかの宗教と「桁違い」

宗教の信者数を数える統一的な基準はないし、公的な全数調査が行われたこともない。文化庁が毎年実施している「宗教統計調査」は各宗教団体の自己申告に基づくもので、信者数の合計が日本の総人口を大きく上回るという結果を見れば、その数字に意味がないことは明らかだ。

いわゆる既存宗教は、勝手に地域住民を氏子にしたり、江戸幕府が創設した檀家制度を基礎に先祖供養を人質にした仕組みを維持しているだけで、普通の意味の信者とは違う。

仏教で最大宗派の浄土真宗本願寺派(西本願寺)は、檀家の家族が600万人に上るというが、葬式などの時以外は希薄な関係だ。キリスト教は、日本では近代になって1%を超えたことはなく、人口の30%も占める韓国と好対照だ。

新興宗教では、幸福の科学が公称では1100万人と最大だが、基本経典の発行数というゆるい基準である。いくつかの推計を総合的に判断すると、それなりに熱心な信者ということなら、創価学会が数百万人、天理教が40万人、立正佼成会や真如苑が20万人あたりで、幸福の科学は選挙結果を見るとそれより少ないようだ。旧統一教会はもっと少なく、最大限、甘くひろっても数万人ないしそれ以下だ。

人気の秘密は「信者満足度の高さ」

どうして創価学会が突出した宗教団体になったのかといえば、富裕層に狙いを絞らず、都市化で共同体的な人間関係を失った人たちに戦後の時代精神に合った精神的よりどころを提供したからである。

しかも、経済的負担が比較的小さく、団体の人間関係が仕事にも役立ったり、仲間の助け合いで葬式ができたりと得することが多いようだ。1960年代には大石寺正本堂建立に際して大々的な寄付運動が行われたことがあったが、会費(財務)納入は振り込みが原則で、既存仏教ではお布施など領収書のない現金のやりとりが主流なのに比べて健全である。

宗教を商売に例えるのも申し訳ないが、ビジネスでのトップ企業と同じで、顧客満足度が高いのである。よく似たものがあるとすれば、パナソニックやトヨタだろう。

松下幸之助氏が創価学会の池田大作名誉会長と対談本を出したり、松下政経塾の創立の時に、初代の塾長就任を池田氏に打診したとされることも自然なことだったし、労組も一体となって家族主義的経営をしたことが、社会主義に対する防壁になったのとも似ている。