創価学会と公明党に再び逆風が吹いている
旧統一教会問題のとばっちりで、創価学会や公明党への風当たりが強くなっている。野党勢力、他の宗教団体に加え、公明党のリベラル色と政権内での発言力に不快感をもつウルトラ保守層が結果的に連携し、「文春砲」や「新潮砲」もそれを煽っている形だ。
1990年代にも、創価学会からの離脱者による告発や、日蓮正宗宗門との対立に便乗して、野党時代の自民党の一部が「政教分離」や「不祥事」を取り上げ、政権復帰の梃子にしたことがあった。そうした批判は事実無根のものが多く、自民党が謝罪に追い込まれる結果となったのだが、今になってこの騒動を蒸し返すような発言も見られる。
私は宗教団体としての創価学会にも政党としての公明党にも好意的である。数百万人の信者を獲得し維持しているのは、信者の満足度が高いからであるし、中道政党としての公明党は、小泉・安倍の保守路線とバランスをとる形で、日本の政治に好ましい形で存在感を示してきたと評価している。
また、かつて、ヨーロッパのキリスト教民主主義を研究していた経験からしても、創価学会と公明党の「政教分離」は欧州諸国における常識の範囲内と言える。
信者数が減少し、政治的存在感に翳り
しかし、他宗教と同様に創価学会も信者数の高齢化や減少に悩み、集票力にも陰りが見られる。2022年に行われた参院選比例代表の得票数は618万票と、21年の衆院選から100万票近く減らし、改選7議席から6議席に後退した。
また、東西冷戦や保革対立のなかで立ち位置を設定してきた公明党にとって、政治的対立軸が複雑化してくると、対処が悩ましい場面が増えてきている。
今年4月には統一選と衆議院補欠選挙(千葉5区、和歌山1区、山口4区)が行われるが、「旧統一教会と共通の問題がある」と右からも左からも挑発されている状況で、集票の動きがさらに鈍くなる可能性がある。
こうした問題は、昨年末に刊行した拙著『日本の政治「解体新書」 世襲・反日・宗教・利権、与野党のアキレス腱』(小学館新書)のなかで詳しく取り上げ、もっとも好評だった部分でもある。そもそもなぜ創価学会が実質日本一の宗教団体になり、公明党がその信者数以上の議席を確保しているのか、そして今どういう点が曲がり角にあるかを解説したい。