スポット市場で稼ぐ中国の揚水発電所

中国では発電所と送配電会社との間で電力を売り買いするスポット市場が各地で整備されつつあるが、そこに揚水発電所もプレーヤーとして加わるようになった。

電気がだぶついているとき、火力発電所や水力発電所は出力を下げるが、風力や太陽光の発電所は出力の調整が効かないので、スポット市場で電気を安く売り出す。それを揚水発電所が買い取って貯水しておき、電気が足りなくなったときに発電してスポット市場で売るのである。こうして揚水発電所は電力需給の変動によって生じるスポット市場での電力価格の変動を利用して利ザヤを稼ぐことができる。

揚水発電所がこういう事業を展開するためには、そもそも揚水発電所が独立した営利企業であることが前提であるが、中国ではすでに送配電会社から揚水発電事業者が独立した子会社として分離されているし、揚水発電所が儲かると見込んで参入してくる企業も多い。

鉄塔と送電線
写真=iStock.com/Just_Super
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きわめて安上りな温暖化対策になる

日本にも電力のスポット市場はあるが、揚水発電所は電力会社が抱え込んだままである。中国における揚水発電ビジネスが軌道に乗るようであれば、日本でも揚水発電所を電力会社から分離して独立させ、スポット市場での電力価格の変動を利用して利ザヤを稼ぐ独立の事業体に育てたらよい。

そうすれば太陽光や風力で作った電気が余りそうなときには出力を抑制させるのではなく、スポット市場で売りに出すようにすれば、揚水発電所が貯水して有効活用するであろう。

排出量実質ゼロを達成するにはもちろん今後も風力発電や太陽光発電に投資を続けなければならないが、現在すでに存在する揚水発電所を活性化することによって、再エネ発電所の出力抑制も避けられるのだとすれば、これはきわめて安上がりな温暖化対策だといえる。

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