東京を中心に19店舗を構えるサラダ専門店「CRISP SALAD WORKS」は、注文の多くを専用アプリから受け付けている。このアプリの言葉遣いは妙にフランクだ。たとえば「少々お待ちください」は「ちょっと待ってくださいね」、「申し訳ございません」は「ごめんなさい」。店頭でもこうした言葉遣いを徹底しているという。CRISPの宮野浩史CEOにその狙いを聞いた――。(聞き手・構成=フリーライター・東川亮)
宮野浩史社長
撮影=プレジデントオンライン編集部
宮野浩史社長

日本にはサラダ専門店がなかった

――サラダ専門店という業態を始めた経緯を教えてください。

CRISP宮野浩史CEO:私が住んでいたアメリカでは、2000年ごろから大都市圏を中心にサラダ専門店をコーヒーショップと同じくらい街中でよく見かけるようになりました。帰国後、日本ではこうした業態が全くないことに気づき、海外の方や海外在住経験のある日本の方などに喜んでいただけそうだと思ったことから、「CRISP SALAD WORKS(以下クリスプ)」を運営する株式会社CRISPを2014年に創業しました。現在は東京、大阪、横浜に計19店舗(2022年11月現在)を出店しています。

左から「チキン・タコボウル(税込1295円)」、「カル・メックス(税込1367円)」、「ヒップスター(税込1495円)」
写真提供=CRISP
左から「チキン・タコボウル(税込1295円)」、「カル・メックス(税込1367円)」、「ヒップスター(税込1495円)」

アプリの接客言葉が独特な理由

――クリスプは注文を専用アプリからも受け付けていますが、その言葉遣いがとても独特ですよね。普通なら「少々お待ちください」とするところが、「ちょっと待ってくださいね!」となっています。

CRISPのヘルプページにある注意書き。「品質に問題」という項目について「注文どおりの商品を提供できずに本当にごめんなさい。。」としている。

われわれは「熱狂的なファンを作ること」を第一のミッションに掲げており、その目標達成の手段として、店頭でもアプリ上でも「親友のお母さんと話しているような接客」を意識しています。

アイドルでもバンドでもいいのですが、好きで何回もライブに足を運んでいる人は「ファン」であって、「リピーター」とは言いませんよね。それは、その人が応援しているから。われわれは、お店のサラダはもちろん、接客やコンセプトを含めたCRISP SALAD WORKSを応援してくれる人を作りたい、増やしたいと考えて、お客様とコミュニケーションを取っていきたいと思っています。

熱狂的なファンを作るためには、こちら側が歩み寄らないとお客さんも胸を開かないと思います。カスタマーサポートセンターみたいなコミュニケーションをしていたら、ファンは増やせない。そのため、堅苦しい丁寧すぎる接客ではなく、親しみはあるけれど礼儀もあるギリギリの接客を心がけています。