「熱狂的なファン」を可視化する

――具体的には、どのような形になるのでしょうか。

クリスプでは、注文をすべてアプリで受け付けることで、一人ひとりのお客様が過去にどこのお店でどんなものを頼んだのか、トッピングはなんなのか、どのくらいのペースで来店しているのか、といったデータを可視化することができます。そうすると、たとえば働き始めたばかりのスタッフが常連さんに対して「100回以上も来られているんですね、すごいです! 僕は入ったばかりなので、これからよろしくお願いします」なんていう接客ができるようになります。

それはお客様にとっても気持ちがいいでしょうし、そうした今までは人によるところが大きかった部分が、今ではテクノロジーによって実現できるようになっています。

注文はすべてスマートフォンの専用アプリや店頭のタブレット端末で行う
撮影=プレジデントオンライン編集部
注文の多くはスマートフォンの専用アプリや店頭のタブレット端末で行う

また、アプリを使ってビッグデータを集めていくことによって、「熱狂的なファン」が今どのくらいいるのかを可視化できるのも、われわれのサービスにとっては大きなポイントになっています。

「名物店員」をより正しく評価する

――「人」による接客については、どのような指導をされているのでしょうか。

いわゆる「接客マニュアル」みたいなものはありません。われわれの考え方をトレーニングの中で伝えていくようにしています。そこで大事にしているのは「余分な行動をしよう」ということ。「それをしなくてもサラダは売れるけれど、それをした方が気持ちいいよね」という行動を実践していくことです。

たとえば「トッピングはこれがおいしいですよ」と一声かける。一昔前は早く正しく同じものを作るのがファストフードのニーズとしてありましたが、その究極は機械による大量生産であって、人間はいらなくなってしまいます。じゃあ、そこでいかにCRISP SALAD WORKSのファンを作っていくかを考えた時に、より一人ひとりが個性を出せるような接客が重要だと思っています。

店内で笑顔を見せる宮野浩史社長
撮影=プレジデントオンライン編集部
店内で笑顔を見せる宮野浩史社長

また、経営側の課題としては「接客のマネタイズ」、いわゆる「名物店員」みたいな人をより正しく評価する基軸を作らなくてはいけないと感じています。

「この人がいるときは売り上げやリピーター率が伸びる」みたいな人はきちんと時給を上げるなどして評価されるべきですし、テクノロジーを使ってデータ分析していける仕組み作りも進めていく必要があると感じています。そうすることが企業としてはサービスの再現性につながると思いますし、働く人たちもより働きやすい環境やモチベーションの向上につながるではないかと思っています。