皮つきの野菜は皮をむいてから調理――。多くの人がそう思っているかもしれないが、皮つきのほうが栄養素を摂取できる食材もある。東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の管理栄養士、赤石定典さんは「例えば、皮なしより皮つきのゴボウのきんぴらのほうが美味しくポリフェノールも豊富。キウイフルーツも皮ごと食べると腸活・肥満予防に役立つ」という――。

※本稿は、『プレジデントFamily 2022年秋号』の一部を再編集したものです。

竹ざるに入ったゴボウ
写真=iStock.com/masa44
※写真はイメージです

皮なしより皮つきのゴボウのきんぴらのほうが美味しい

皮つきの野菜は、まず皮をむいてから調理するのが当たり前。そう思い込んでいませんか?

実は、ゴミ箱へ行くその皮は栄養の宝庫。そして風味も豊かなので捨ててしまうのはもったいない話です。「皮つきの野菜はできるだけ皮ごと調理しましょう」と、私は折に触れ伝えています。

もちろん、皮といっても含まれる栄養素はさまざまです。ゴボウを例にすると、皮にはクロロゲン酸という物質が多く含まれています。これは抗酸化作用のあるポリフェノールの一種で、体にダメージを与える活性酸素から身を守る働きがあります。

また、脂肪の吸収・蓄積を抑える効果も報告され、ダイエットや生活習慣病の予防に役立つ栄養素でもあるのです。

調理するときは、洗いゴボウならそのまま、泥つきゴボウなら泥をよく洗い流せば十分。ピーラーや包丁で皮をむく必要はありません。

あるテレビ番組で皮つきと皮なしのゴボウのきんぴらを食べ比べてもらったことがあるのですが、大半が「皮つきのほうがおいしい」と答えていました。

ゴボウの場合、切った後、水にさらしてアク抜きするのが一般的ですが、このアクの成分もほとんどがクロロゲン酸(ポリフェノールの一種)。つまり、皮を残し、水にさらさずに調理をすれば、より多くのクロロゲン酸を取ることができるのです。

皮がおいしい野菜にはニンジンもあります。そもそもニンジンの皮とされているのは「内鞘ないしょう細胞」という薄い膜。土から取った栄養や葉でつくった栄養は内鞘細胞に蓄えられるため、皮に近いほど甘みや香りが濃くなるのです。味に比例して栄養価も高くなり、なかでも多いのはベータカロテンや食物繊維。

ほかにも、ダイコン、ジャガイモなど皮つきで食べたい野菜はたくさんあります。大根は皮ごと鬼おろしでおろすと甘みが増しますし、鍋物なら、ピーラーで皮つきのままリボン状に薄く削るのがおすすめ。皮の硬さが気にならず、すぐに軟らかく煮えて一石二鳥です。

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