※本稿は、『プレジデントFamily 2022年秋号』の一部を再編集したものです。
「現代文の成績が上がると、全教科の成績が上がる」
英国の教育者マイケル・バーバーは教育の「40年ギャップ説」を唱えた。20年前の教育しか知らない親は、20年後を目指す今の教育を理解できない。そこには合計40年のギャップがあるという。
この説を引き合いに、大学入試現代文の第一人者、駿台予備学校の霜栄先生は、入試問題の変化を親が理解するのは困難だという。
「特に大きな変化は国語だけでなく、どの教科でも読解力が重視されるようになったことです。しかも出題される文章はどんどん複雑になり、私が学生の頃と比べて、はるかに難しい」
高い読解力を試す傾向は、国立の難関大学ほど強くなっている。
「一部の国立大学などは、自分の意見をデータや論拠をあげて論述式で答えさせ、ある医学部では、写真を見て状況を想像させる脱パターン化した記述を求めています」
過去の問題文にたくさん接して、解答のパターンを覚える「傾向と対策」式ではうまく解けない。そんな入試になってきている。
大学が求めているのは、小手先の受験技術ではなく、未知の課題文も即座に読み解く力と、書く力なのだ。
読書や作文そっちのけで、わが子には英語や算数ばかりやらせようとする親御さんがいる。しかし、読書や作文こそ読み書きの基礎的な力となる。それを軽視するのは、読解力、記述力重視の大学入試において時代遅れだ。それこそ40年ギャップである。
霜先生は「現代文の成績が上がると、全教科の成績が上がります」と言いきる。文章問題、記述式解答が国語以外の教科にも、幅広く導入された結果なのだろう。
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