大学入試はどの教科も読解力・記述力重視になった。「傾向と対策」のような受験技術ではなく、未知の課題文も即座に読み解く力と、書く力はどのように身に付ければいいのか。芥川賞作家の藤原智美さんが駿台予備学校の現代文の第一人者である、霜栄さんを取材した――。

※本稿は、『プレジデントFamily 2022年秋号』の一部を再編集したものです。

ペンを握る女性の手元
写真=iStock.com/Yagi-Studio
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「現代文の成績が上がると、全教科の成績が上がる」

英国の教育者マイケル・バーバーは教育の「40年ギャップ説」を唱えた。20年前の教育しか知らない親は、20年後を目指す今の教育を理解できない。そこには合計40年のギャップがあるという。

この説を引き合いに、大学入試現代文の第一人者、駿台予備学校の霜栄先生は、入試問題の変化を親が理解するのは困難だという。

「特に大きな変化は国語だけでなく、どの教科でも読解力が重視されるようになったことです。しかも出題される文章はどんどん複雑になり、私が学生の頃と比べて、はるかに難しい」

高い読解力を試す傾向は、国立の難関大学ほど強くなっている。

「一部の国立大学などは、自分の意見をデータや論拠をあげて論述式で答えさせ、ある医学部では、写真を見て状況を想像させる脱パターン化した記述を求めています」

過去の問題文にたくさん接して、解答のパターンを覚える「傾向と対策」式ではうまく解けない。そんな入試になってきている。

大学が求めているのは、小手先の受験技術ではなく、未知の課題文も即座に読み解く力と、書く力なのだ。

読書や作文そっちのけで、わが子には英語や算数ばかりやらせようとする親御さんがいる。しかし、読書や作文こそ読み書きの基礎的な力となる。それを軽視するのは、読解力、記述力重視の大学入試において時代遅れだ。それこそ40年ギャップである。

霜先生は「現代文の成績が上がると、全教科の成績が上がります」と言いきる。文章問題、記述式解答が国語以外の教科にも、幅広く導入された結果なのだろう。

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