楽しみながら昆虫を食べる日本の食文化

ミンミンゼミが大合唱する夏が過ぎゆき、ヒグラシがわびしさを奏でる秋へと移ろうとしている。コオロギがオーケストラを奏でる季節も近い。

四季を盛り上げる昆虫だが、近年、期待の食材として人々の耳目を集めるようになった。海外メディアの注目度は高く、日本のユニークな「昆虫食」が繰り返し報じられている。

昆虫を食べる若者。昆虫食のイメージ
写真=iStock.com/MarsBars
※写真はイメージです

なんでも食糧危機の回避と環境保護に有効とのことで、畜肉への依存を解消する手段として注目されているという。いまではウクライナ情勢で小麦と原油価格が高騰し、食糧危機に拍車をかけたことで、いっそう切り札として期待が高まるようになった。

昆虫食は、特に欧米で試みが先行している印象だ。欧米ではセレブがメディアに出演し、ミミズやバッタをほおばる姿をたびたび披露している。

しかし実際のところは、環境問題や食料問題に熱心な人々を中心で、一般の人々は及び腰だ。人々が食卓に取り入れるには至っていない。正直なところ、「気持ち悪い」とのイメージが根強いのだという。

日本では、昔から郷土料理としても昆虫が活用されてきた。近年では高級レストランで取り入れられたり、飛行機の機内食として出されたりしている。イベントごととして楽しみながら昆虫を食べる日本人――。これに海外メディアは熱い視線を向けているのだ。

コオロギ粉末の機内食「空飛ぶ昆虫食」が大ウケ

今年、「空飛ぶ昆虫食」として話題となった機内食がある。JAL傘下の格安航空会社(LCC)のジップエアは、7月から食用コオロギを使った機内食の提供を始めた。

その機内食とは「トマトチリバーガー」(1500円)と「ペスカトーレ」(1500円)の2品目。国産の食用コオロギの粉末がパンとパスタに練り込まれている。味は悪くないようだ。砕いたコオロギは風味が高く、エビの殻の風味にも似ているのだという。