日本以外でも、欧米よりはアジアの国々で昆虫食が比較的広く受け入れられているようだ。英BBCは、「アフリカ、南米、アジアの国々では、合計でおよそ2000種の昆虫が食用されている」と報じている。
記事はまた、「しかしヨーロッパやアメリカの多くの人々は、味も素晴らしく環境面と栄養面で利点があるにもかかわらず、昆虫を食べることに気乗りしない。食品のカーボンフットプリントを削減する機会を逃している」と指摘する。BBC記者は2021年までの2年間イギリスに住んでいたというが、「食用バッタを買うのに苦労した」と嘆いている。
欧米ではセレブが昆虫食を発信するものの…
欧米の昆虫食事情に目を向けると、プロモーションとしての性格が強く、まだまだ一般には浸透していないのが実情だ。
英ミラー紙は、昆虫食にチャレンジするセレブが増えていると報じている。
同記事によると、オーガニックの家庭菜園にも力を入れる豪女優のニコール・キッドマンは、TVカメラの前でミミズやバッタなど虫を使った料理4種を平らげた。オスカー女優のルピタ・ニョンゴは、ロスの高級レストランで蛾を味わっている。人道支援活動にも熱心なアンジェリーナ・ジョリーは、子供と一緒に時々コオロギを食べているようだ。
映画『アイアンマン』の主演を務めたロバート・ダウニー・Jrは、プロテインシェイクにミールワームを混ぜたものを愛飲しているという。ロバートは、「われわれが乗り換えれば、大きな大きな発明になる」と述べ、昆虫食を推奨していると英ミラー誌は報じた。
米フード情報サイトのマッシュドは、アメリカのある著名シェフがカブトムシの仲間を愛食していると述べ、バターでソテーして塩を振るとエビに似た味になると紹介している。ほかにもソーセージ味のシロアリなど、一般的な食品に味が似ている昆虫は意外にあるのだという。
だが、著名俳優などがメディアを通じてハッパをかける一方、規制と抵抗感が普及を妨げている。米フォーブスは昨年やっと、EUで食用ミールワームの販売が認可されたと報じている。それまで食用用途での流通・販売は禁止されていた。
欧米社会では、まだまだ嫌悪感が根強いようだ。同誌は、「(世界では)25億人が日常生活の一部としてよく昆虫を食べているが、西洋の国の人々はこのアイデアを『不快』と感じることが多い」と指摘している。
昆虫食が注目されるようになったワケ
昆虫食は、畜肉に頼っていた食糧の供給危機を回避し、また、生育過程でのCO2排出量を削減する手段として期待されている。
BBCが報じたデータによると、1kgの良質な動物性タンパク質を生産するためには、6kgの植物性タンパク質を家畜に与えなければならない。