押印業務を80%削減

社内決裁のプロセスも変えました。以前はカンパニー長のところに上がるまでには、少なくとも1カ月以上はかかっていました。課長、部長、事業部長などのチェックが入り、その都度、部下が上司に説明するプロセスだったからです。

決裁を進めるうえで押印を必要とする書類の種類も、3000以上ありました。部下からすれば、資料づくりのほかに、上司に説明して印鑑をもらう時間が必要だったのです。

樋口泰行『パナソニック覚醒』(日経BP)
樋口泰行『パナソニック覚醒』(日経BP)

例えば、部長の印鑑をもらいに行ったら、部長は席を外していた。机の上に決裁書類を置いておくわけにもいかないので、持ち帰ることにした。出直してみたら、また席を外している。仕方がないので、また持ち帰った……。

こんなことが社内のあちこちで繰り広げられていたわけです。数百、数千と積み上がり、トータルにすれば、どれだけ無駄な動きを生んでいたか。大きな時間のロスです。

非効率な承認プロセスは、権限委譲や電子化、廃止を含めて徹底的に見直しました。押印ペーパーレス化プロジェクトと名付けて、電子印鑑ソリューションなども導入し、それまでのような押印業務を80パーセント削減しました。

20パーセントは、お客さま関連でどうしても押印が必要でした。また、工場のラインで、デスクワークではなく現場で検査をした証としての押印は、このほうが効率的だというので残しました。

ただ、押印をなくすというのは、かなり思い切らないといけない取り組みです。それでも、ゼロベースで考えてみれば、大きな無駄に気づくことができます。

やらなくていいことは基本やらない。どうしても、というところだけやる。

このアプローチで大きく削減できます。

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