日本企業の強みはどこにあるのか。パナソニックコネクトの樋口泰行社長は「中国の火鍋レストランのチェーンと仕事をしたときに、『遅い、決めない、どうなっているのか』と何度も叱られた。確かにスピードでは中国企業に負けるかもしれないが、われわれには『ややこしいところ』を解決するチカラはある」という――。

※本稿は、樋口泰行『パナソニック覚醒』(日経BP)の一部を再編集したものです。

「スマートレストラン」事業について記者会見し、握手する(右から)パナソニックの樋口泰行専務、海底撈インターナショナルホールディングスの張勇董事長、北京瀛海スマート自動化科学技術有限公司の総経理の山下純氏=2018年10月25日、東京都中央区
写真=時事通信フォト
「スマートレストラン」事業について記者会見し、握手する(右から)パナソニックの樋口泰行専務、海底撈インターナショナルホールディングスの張勇董事長、北京瀛海スマート自動化科学技術有限公司の総経理の山下純氏=2018年10月25日、東京都中央区

「遅い、決めない、どうなっているのか」

ソリューションだ、レイヤーアップだ、現場プロセスイノベーションだ、と旗印を掲げることは大事ですが、実際にはそれだけでビジネスが動き始めるわけではありません。

大事なことは、徹底的に何ができるかというアイデアを出し合うことであり、ディスカッションすることであり、実践例を作っていくことでした。

そして実践しながら、改めて自分たちの向かう方向を確認できた、というのも事実です。

例えば、印象深いものとしては、2018年の中国の火鍋レストランのチェーン「海底撈(ハイディラオ)」との協業があります。中国で急激に成長していたチェーンでしたが、CEOと知り合う機会があったのでした。

中国企業とのビジネスはとても難しいですが、CEOからは「松下幸之助を尊敬している」「パナソニックと仕事をするのが夢だった」と語られていたので、これがうまくいかなければ中国では何もできない、という思いで取り組みました。

しかし、驚いたのはそのスピードの速さです。まだカルチャー&マインド改革の途上だった私たちは、とてもついていけなかった。

「遅い、決めない、どうなっているのか」と何度も叱られました。

ただ、私たちもだんだんスピードが上がっていって、後には「速くなった。自分たちよりも速くなったかもしれない」と言ってもらいました。