経営の遅れは「経営者自身の問題」

実際、マーケティングはかなり遅れているという印象がありました。

当社でも、CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)も不在でしたし、IT予算は限られていて生産性を落としていました。

樋口泰行『パナソニック覚醒』(日経BP)
樋口泰行『パナソニック覚醒』(日経BP)

当カンパニーの中にはいくつもの事業がありましたが、あまりにも「自分のお城」意識が強いリーダーは、これからは適さないというメッセージを発信していきました。

同時に、このままではいけないと感じ、部門を横断する機能のマネジメントに関しては、スキルを持つ外部人材を採用することにしました。社内にはスキルセットを持つ人材がいなかったからです。

そして、しっかりとガバナンスしていくという選択をしました。

実際、マーケティングもITも外資の経験者が、適切なガバナンスを効かせる体制にしました。そして、私がしっかり支えました。そうしないと、現場は言うことを聞きませんから。

場合によっては、各部門のマーケティング、IT部門からの直接レポートをまずはトップがすべて集約する。そこまでやってもいいと思っています。

経営の近代化が遅れているのは、経営者自体の部門横断的な機能へのマインドシェアが低かったから、ということでもあります。マーケティングやIT、人事に関して、もっとガバナンスを効かせなければいけないというマインドを強く持っておく必要があるのです。

業績に直結するのはセールスや開発だと考えてしまいがちですが、実は部門横断的な機能も経営と表裏一体である、という考え方が外資系企業では主流なのです。

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