仕事の効率を高めるには、どうすればいいのか。パナソニックコネクトの樋口泰行社長は「25年ぶりにパナソニックに出戻ったところ、顧客価値につながらない内向き業務が多すぎることがわかった。やらなくていいことは基本やらない。どうしても、というところだけやる。このアプローチが重要になる」という――。
※本稿は、樋口泰行『パナソニック覚醒』(日経BP)の一部を再編集したものです。
ワードで4、5ページもの週報
この仕事は本当に顧客価値につながっているのか。それを改めて強く感じたものに、「週報」がありました。これまでは、部下が1週間、何をしていたのか、上司が毎週レポートすることを要求していたのです。
しかも、これがけっこうなボリュームです。ワードファイルで4、5ページにもなる。
それまでに積み上げてきた進捗なども書くということでしたが、これだけのボリュームの週報を書くとなれば、部下にとってはひと苦労でしょう。
上司が見るわけですから、いい週報にするために工夫したいと考えていた部下も多かったようです。そして上司は、そのまた上司にも提出することになりますから、やはりいい週報が見たい。
週報は金曜日の提出でしたが、週も半ばになると、上司から「いいネタはあるか」「トピックスはどうか」などと問いが入ってくる。こうなれば、部下は週報を書くためにアンテナを立てなければならなくなります。
中には、金曜までにいいトピックスを集めたり、書き上げたりできず、土曜日に週報を書いていた、なんてケースもあったようです。
しかも週報を見た上司からのフィードバックは、週末に入る。見る上司も大変ですが、対応する部下も時間が奪われる。
私自身は週報を受け取る立場ではありませんでしたが、CSOの原田がその存在を教えてくれたのでした。「社員がすごい時間をかけて週報を作っている。これはもうやめようと思っているのだがどうか」と。