「上司に怒られる」「やるべき仕事がなくなる」

話を聞いてわかったのは、どうやら週報が顧客価値につながっているとはとても思えないということでした。まさに内向き業務の最たるものだったのです。しかも、これにとんでもない時間とパワーをかけている。「やめましょう」とすぐに伝えました。

これには、反発もありました。部下にすれば、週報をやめたら上司に仕事を理解してもらえなくなる、急にやめたら上司に怒られてしまうのではないか、という怖さもあったようです。

一方で、実は仕事の多くが週報の作成だった、という社員もどうやらいたようでした。これが廃止となれば、やるべき仕事がなくなってしまうわけです。

ただ、多くの社員から週報をなくすことに対しての支持も受けました。なんのために大変な思いをしてこれを作っているのか、休みの日の週末に上司からフィードバックがくるのはおかしい、と週報に対して懐疑的な見方を持っていた社員も少なくなかったからです。

そもそも週報を頑張ったところで、業績が上がるわけでもないのです。

「週報をなくしましょう」と伝えて、次のオールハンズミーティングで「もうやってないですよね?」と確認をしたのですが、なんとまだ続いている部署もあったのでした。

週報から「ウイークリーレポート」と名前を変えて続けていたのです。

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写真=iStock.com/RichLegg
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必要がないならやめてしまえばいい

私は翌日、全社員にメールを出して、「週報をどうしても書きたい場合には、例外申請を私まで直接上げてください」と伝えました。

1件だけ、上がってきました。新入社員の文章を書く練習ということでした。教育目的なら、ということで、これは認めました。

ずっとやってきたから、という理由だけで続いているものが、歴史のある会社にはたくさんあるのではないでしょうか。しかし、顧客起点で見てみると、必要のないものが少なくないのではないかと思います。

必要ないのであれば、やめてしまえばいいのです。それだけで、生産性が一気に高まります。