開戦20年を機にバイデンが約束したこと

2021年1月に大統領に就任するとすぐに、バイデンはブッシュ、オバマ、トランプを悩ませていたのと同じ難問に直面した。

彼が残りのアメリカ軍を帰国させた場合、ターリバーンは権力を取り戻す絶好のチャンスに立ち、アメリカは敗北してアフガニスタンを去る、1世代で2番目の超大国になる危険を冒すことになる。

代替案は、トランプの反乱勢力との合意を破り、カーブルの無力で腐敗した政府を支えるために、アメリカ軍を無期限に駐留させておくことだった。

3カ月間、バイデンは別の方法を探した。バイデン政権は、ターリバーンとアフガニスタン政府に、行き詰まった交渉を加速し、地域の大国との首脳会談を開くように促した。しかし、その努力はほとんど期待されず、支持も得られなかった。

4月14日、バイデンはその決意を表明した。ホワイトハウスの条約室からの演説で、2021年9月11日までに――9.11攻撃の20周年――すべてのアメリカ軍をアフガニスタンから撤退させることを約束した。

こうして史上最長の戦争を終わらせた

前任者たちとは異なり、バイデンは20年間の戦争に冷徹な評価を下した。結果を勝利として美化しようとはしなかった。

クレイグ・ウィットロック『アフガニスタン・ペーパーズ』(岩波書店)
クレイグ・ウィットロック『アフガニスタン・ペーパーズ』(岩波書店)

代わりに、アメリカはアフガニスタンのアル=カーイダの拠点を破壊することによって、ずっと前にその当初の目的を達成した、と彼は言った。そして、2011年5月にウサーマ・ビン・ラーディンを殺害した後、アメリカ軍は立ち去るべきだった、と示唆した。

「それは10年前のことです。そのことについて考えてみてください」と彼は言った。

ホワイトハウスでの演説の後、バイデンはポトマック川を渡り、アーリントン国立墓地を訪れ、戦没者に敬意を表した。どんよりした空の下、たたんだ黒い傘を持って、アフガニスタンおよびイラク戦争に参加した兵士たちが埋葬されている墓地の第60区画をゆっくりと歩いた。記念の花輪の前に立って、十字を切り、敬礼をした。それから遠くのほうを見つめ、何列にもなって並ぶ白い大理石の墓石を見渡した。

「信じがたいことだ」と彼はつぶやいた。「彼らすべてを見ろ」。

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