洋服の青山、ニトリ…BEAMSデザインは多岐にわたる

そもそもビームスのような会社が「スポーツ用品」をデザインするケースは非常に珍しい。ダンヒルがサッカー日本代表の移動時のオフィシャルスーツを、青山商事が陸上競技日本代表のオフィシャルスーツを提供したことはあるが、それらはあくまでスーツだ。

聞けば、ビームスはゼットの「ZETT by BEAMS DESIGN」だけでなく、さまざまなパートナー企業と協業で商品を開発している。

例えば、「洋服の青山」などを展開する青山商事とはウエアブランド<MORLES>を、また「ニトリ」とは家具(テーブルやスツール、シェルフなど)を協業している。その他にもビームスがデザインで参画しているアイテムは、ランドセル、キッズフォーマルウエア、ペット用品など多岐にわたる。気づけば、日常生活にビームスがどんどん入り込んできているのだ。

もちろんスポーツの世界でも“シェア”を広げている。

サッカーのオランダリーグのシント=トロイデン、H.C.栃木日光アイスバックスのユニフォームもビームスがデザインしている。また強豪ラグビーチームのユニフォームなど、メーカーとの契約で公にできないパターンもあるようだ。

そうやってスポーツ×ファッションの裾野が徐々に広がってきたことで、コロナ禍にもかかかわらず「ビームス デザイン」は2021年にBtoB事業全体で500件以上の問い合わせや打診を受けるなど、確実にニーズが増加している。

さらに、1枚からつくることができる個人オーダーも可能な「ユニフォーム サーカス ビームス」というプロジェクトも脚光を浴びている。とりわけ近年、注文が増えているのは下記のようなワークウエアだという。

・「毎日新聞」の新聞配達員のジャージユニフォーム
・整体サロン「カラダファクトリー」の施術スタッフユニフォーム
・ハンバーガーチェーン「フレッシュネスバーガー」のスタッフユニフォーム(※2019年3月まで)
・学校制服の「ビームス スクール
・医療従事者が着る「ビームス メディカル」

いずれのアイテムも“BEAMSらしさ”が人気の要因だ。日本のファッション業界で独自のカルチャーを築いてきた会社だけに、スポーツアイテムを取り扱う場合も直球ではなく“遊び心”を忘れないのが信条だ。

今年も夏の甲子園予選が各地で始まった。中には「ZETT by BEAMS DESIGN」を新規に採用したチームもあるだろう。その学校が晴れて代表校に選ばれれば、それがまた話題になって……数年後、丸刈りの高校球児は見違えるほどオシャレに変身しているかもしれない。

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