大手セレクトショップのビームスが老舗野球用品メーカーのゼットと組んで売り出している野球関連ウエアが人気だ。ビームスはプロ野球のヤクルトの公式ユニフォームを手掛けたこともある。その洗練されたデザイン力を生かして家具のニトリや、洋服の青山などとも協業し、2021年にはBtoB事業で他企業から500件以上の打診を受けたという――。

夏の予選真っ最中、高校球児にBEAMSが人気のワケ

パンチパーマに金のネックレス、手にするのはセカンドバッグ、愛車はベンツ……。1980年代までのプロ野球選手はユニフォームを脱ぐと、そんないでたちで街を闊歩していた印象だが、それに比べ最近の選手はずいぶんオシャレになった。

ZETT by BEAMS DESIGNのTシャツ
写真提供=ZETT 

洗練されてきたのは、私服だけではない。トレーニングウエアもそうだ。それもプロだけでなく、アマチュア野球界にもそのムーブメントは浸透してきている。

例えば、今春のセンバツ甲子園では埼玉の浦和学院のスタッフが、大手セレクトショップビームスの事業「ビームス デザイン」と、野球用品メーカーのゼットが協業した「ZETT by BEAMS DESIGN」のウエアを着ていたことがコアなファンのなかで話題になった。

あのビームスがなぜまったくの畑違いの野球業界に足を突っ込んだのか。

高校野球の世界は旧態依然だ。球児は今も丸刈りが主流で、ユニフォームも純白。“古き良き”時代のものを継承しているイメージが強い。というより、グラウンド内でのウエアに関しては、日本高野連が「高校野球用具の使用制限」を定めていて、自由が利かない。

・「ユニフォームの表面にはいかなる商標、マークもつけてはならない」
・「裾を極端に絞った変形ズボンは使用できない。また、上着とズボンの色合いが異なるもの(ツートンカラー)は使用できない」
・「ベルト色は黒または紺(ライトブルーは不可)色とし、エナメルは使用できない」

……と、“校則”並に細かいと言えなくもない。スパイクの色も指定があるため、グラウンドレベルで高校球児の変化はなかなか気づきにくい。

ところが今回、東海地方の強豪校でコーチをしている知人に聞くと、グラウンド外で着るチームウエアや、ユニフォームとは違うトレーニングウエアは少しずつ変わってきているという。