日本で一番売れている清涼飲料水のブランドは「サントリー天然水」だ。支持されるブランドに育つまでには何があったのか。経済ジャーナリストの高井尚之さんがリポートする――。
4年連続で首位の「サントリー天然水」
今年は5月に早くも各所で35度超えの猛暑日を記録した。気温が高くなると、外出時に清涼飲料水(乳製品類とアルコール以外の飲料)を携帯する人が増える。その清涼飲料水で最も売れているブランドは何か、ご存じだろうか。
答えは「サントリー天然水」(サントリー食品インターナショナル、2020年に商品名を統一)だ。飲料総研の調査では、2018年から4年連続で首位となっている。
なぜ、このブランドが人気なのだろう。メーカーの活動を紹介しながら、消費者の「飲料水」に対する意識も考えてみた。
2021年は「1億2000万ケース」超に
「清涼飲料水市場全体では2021年は前年比約101%でした。コロナ禍で落ち込んだ数字が回復基調になっています。当社は業界全体を上回り同103%で、天然水ブランドに限っていえば、今年1~4月は前年比107%でした。外出増など人流の回復も数字を後押ししています」
ブランドマネージャーの平岡雅文さん(サントリー食品インターナショナル SBFジャパン ブランド開発事業部課長)はそう話す。
ブランドが支持される理由については、「メーカー視点では、大きく2つあると考えています。1つは、お客さまの『飲料水への意識』に合わせて細かく向き合ってきたこと。もう1つは、『水源にこそ価値がある』という企業姿勢を訴求してきたこと。これをご評価いただいているのではないでしょうか」と解説する。