社員の定着率が低い企業はどこに問題があるのか。ラーニングエッジ代表の清水康一朗さんは「新卒社員・中途社員への教育・フォローが不足している企業が多い。社員が辞めていく理由を正確に把握しないと、職場の真の課題に気づけず、同じ失敗を繰り返すだけだ」という――。
退職届
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採用しても採用しても、人が辞めていく

「今年は採用を強化したのに、半年も経たずに何人も辞めてしまった」
「常に求人を出しているが、人が定着しない」

こうした悩みを抱える企業は年々増えています。人手不足が叫ばれる中、採用に力を入れているにもかかわらず、離職が止まらないから毎月人を採用しないと会社が回らない。

その結果、採用費に予算の大半を取られてしまう――。

このような採用に関する相談を、私たちはクライアントから数多く受けています。

詳しく話を聞いてみると、そうした企業にはいくつかの共通点があることが分かりました。今回は、その実態と共通点を、実際にお問い合わせいただいた4社のクライアントの具体事例をもとにお伝えします。

「面倒見のいい職場」と自認していたが…

事例①「独自ルール」が多すぎて馴染めない会社

ある中小の電気メーカーでは、新卒採用に毎年力を入れていました。

しかし、入社1年以内の離職率は50%以上。原因を探ると、社内には明文化されていない独自ルールが数多く存在していました。

・上司より先に帰ってはいけない
・会議では若手は発言しないのが暗黙の了解
・仕事の進め方は先輩のやり方を真似るのが正解
・社内飲み会への強制参加
・業務時間外での連絡にも即レス必須

これらはベテラン社員にとっては「当たり前」のことでしたが、新卒者や転職者にとっては強い違和感の連続でした。質問すれば「そんなことも分からないのか」と言われ、自分なりに工夫すると「余計なことをするな」と注意される。

その結果、「自分はこの会社に合っていない」と感じ、早期退職を選ぶケースが続出したのです。

企業側は「厳しいが面倒見の良い職場」と認識していましたが、外から来た人には閉鎖的で息苦しい環境に映っていました。