「即戦力なんだから説明不要」は勘違い

事例② 教育・サポートがなく「放置」される新人

IT系ベンチャー企業で起きた事例です。即戦力を求めて転職者を積極採用していましたが、入社3カ月以内で辞める人が後を絶ちませんでした。

理由はシンプルで、「即戦力=説明不要」という誤った認識が定着し、肝心な教育やフォローの体制がなかったのです。入社初日に簡単な説明を受けただけで、翌日から実務に投入され「前職ではどうやっていたの?」と言われながらも、会社独自のルールや背景は共有されませんでした。

忙しい職場だったため、質問すると「後にして」「今は無理」と言われることも多く、次第に相談すること自体を諦めてしまいます。ミスをすれば叱責され、「即戦力で採用したのに」とプレッシャーをかけられる。最終的に「この環境では力を発揮できない」と判断し、短期間での退職に至りました。

この会社では、「できる人が生き残る」という考えが強く、新人が辞めることを問題視していませんでした。採用コストは膨らみ、組織としてのノウハウも蓄積されず、組織としての成長も停滞していったのです。

対立や影口は「社会人なら普通」?

事例③ 人間関係の悪さに気づいていない職場

大手コンサル会社では、表向きは「風通しの良い職場」を掲げていました。しかし実際には、部署間の対立や陰口が横行し、失敗の責任を押し付け合う文化が根付いていました。

新卒で入社した田中さん(仮名)は、最初は明るく意欲的でしたが、次第に表情が暗くなっていきます。上司に相談しても「気にしすぎ」「社会人なら普通」と取り合ってもらえず、仕事で成果を出しても、「それが当たり前だから」と評価されない状況が続きました。

その結果、虚しさと孤立感を深め、1年を待たずに退職してしました。

職場でのいじめとチームワークの欠如の概念
写真=iStock.com/Dragon Claws
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長く勤めている社員ほど環境に慣れてしまい、「どこもこんなものだ」と問題意識を持っていませんでした。しかし、新しく入った人ほど職場の歪さに敏感に気づき、次第に仕事への意欲を失ってしまうのです。