中国系決済アプリの闇
現金を持ち歩かず、スマホでQRコードを読むだけで支払いができる「QRコード決済」。拡大するデジタル決済の一部であり、国内でも「PayPay」や「楽天ペイ」など多くのアプリがサービスを展開している。
日本発の「○○ペイ」と並び、店頭に掲げられた決済手段リストで頻繁に見かけるのが、「ウィーチャットペイ(WeChat Pay/微信支付)」と「アリペイ(Alipay/支付宝)」だ。どちらも中国発の決済サービスで、それぞれテンセント(騰訊/Tencent)とアント・グループ(螞蟻集団/Ant Group、アリババ系列)が提供する。
便利な支払い手段だが、こうしたサービスには影の側面がある。
中国から日本を訪れた観光客が、中国系の事業者が運営する国内の中国語ツアーに参加したり、中国系店舗でショッピングを楽しんだりしたとする。ウィーチャットペイやアリペイで支払う際、中国国内アカウントに対して振り込むためのQRコードを用いれば、アプリ内のアカウント間の資金移動という形で完結し、売り上げは日本の税務当局に捕捉されない。日本での商取引だが、中国の経済圏の中ですべてが完結する。
さらには、このような形態で当該プラットフォーム内の取引として完結する場合、クレジットカードや銀行振り込みとは異なり、銀行や金融監視当局の監視を受けずに資金の移動が可能だ。マネーロンダリングの温床になっていると、関係者は警鐘を鳴らす。
同サービスを国内で利用した場合でも、日本の決済代行業者を通した取引では監督省庁による売り上げの捕捉が可能となるため、すべての取引が監視を逃れている訳ではない。ただし、前述のような不透明な取引が存在することも事実だ。
白タクを根絶できないワケ
分かりやすい事例の一つが、白タク問題だ。
成田空港へ向かえば、ターミナル前の車寄せは車で溢れかえっている。この中に、営業許可のない自家用車による違法な旅客運送、いわゆる白タクが紛れ込んでいると、繰り返し報じられてきた。
少し前の記事となるが、2023年の読売新聞が詳しい。現地で取材した記者によると、ターミナルに白ナンバーの車が停まった。後部座席から中国語を話す男性2人が降り、ドライバーがトランクからスーツケースを降ろして手渡した。取材に応じたドライバーは香港出身だと説明し、悪びれた様子もなく「友達を案内していたんだよ。お金はもらってない」と話したという。
中国語対応のアプリひとつで配車でき、予約から決済まで完結する。決済がすべてオンラインで完結する以上、摘発は難しい。捜査関係者は同記事で、「現場で現金のやりとりがなく、『友達だ』と言われたら立件のハードルは高い」と明かす。
ウィーチャットペイやアリペイでも、問題は同じだ。日本国内での取引であっても、日本の銀行口座を介さないルートで完結する。
金融庁も事態を問題視している。片山さつき財務大臣兼内閣府特命担当大臣(金融担当)は今年3月、課税の捕捉が困難である点、およびマネーロンダリング対策に不備がある点を指摘した。国税当局でも、商売の実態がありながら納税の形跡がないケースが確認されているという。

