日本での売り上げが「中国国内取引」扱いに
成田の白タクもタイの違法ツアーも、問題の根は同じ場所にある。前述した、アリペイやウィーチャットペイが採用するクローズドループ型という決済の仕組みだ。
こうしたプラットフォームで支払いを済ませれば、カネの流れを銀行も当局も把握することが困難となる。
財新グローバルは、日本を旅行中の中国人観光客がクレジットカードをアリペイに紐づけ、QRコードで決済すると、カード明細には中国国内の取引として記録されると指摘する。
日本の店で支払ったカネだが、帳簿上は中国内で行われたことになる。取引カテゴリーは、「娯楽」など大まかな括りが記録されるだけだ。支払った加盟店の名前すら、カード発行元の銀行に開示されない。
加盟店の銀行口座に届く売上金は、シンガポール子会社「アリペイ・シンガポール」を経由したものとして表示される。ある銀行のクレジットカード部門担当者は同メディアに、実際には越境取引であっても、「相当量」が国内取引として記録されている、と懸念を示した。
整形クリニックで行われた巨額マネロン
同じ決済プラットフォームが、さらに大規模な犯罪に使われていた例がある。
舞台は韓国・ソウルの整形外科クリニックだ。暗号資産専門メディアのDLニュースは今年1月、ソウル税関当局が1億200万ドル(約153億円)規模のマネーロンダリング網を摘発したと報じた。
主犯格は、大手クリニックでカウンセリング責任者を務めていた中国人スタッフ。中国人観光客がアリペイやウィーチャットペイで支払った代金を専用口座に吸い上げ、中国人の共犯者とともに海外で仮想通貨を購入していた。
その後、韓国の暗号資産取引所を経てウォンに換金し、複数の銀行口座とATMで次々に現金化していたという。クリニックの受付カウンターを舞台に、国際的なマネーロンダリングが行われていた。

