海外では「マスク不要」となる国が相次ぐなか、なぜ日本人はマスクを手放せないのか。医師の大和田潔さんは「相手を感染させないためのマスクが、感染しないためのマスクとなり、最終的には自身の責任を回避するためのマスクになっている。これではマスクの意味がない」という――。
フェイスマスクを外して空中に投げ込むビジネスマンのグループ
写真=iStock.com/Rowan Jordan
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どうすればマスクを外すことができるのか

新型コロナ感染症の影響で、マスクの着用がすっかり日常になってしまいました。家から一歩外に出ればマスク。職場や電車内もマスク。人がいない通りでも律儀にマスクをつけて歩く人の姿をよく見かけます。子どもたちの通学も運動時もマスクです。

こうした光景はいつまで続くのでしょうか。

米国では6月12日から空路で入国する旅行者への新型コロナ陰性証明などの提示義務が廃止されます。われわれは、マスクぐらい外して以前の生活に戻ることはできないのでしょうか。

最近になってコロナ専門家が、マスク着用に関する新たな発信を行いました。これまで私たちに自粛やマスク着用を求めてきた彼らは、一転して「マスク不要論」を語り始めました(※1、2)。5月23日には政府が、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を一部変更し、マスクが必要のない具体的なケースを示しました。

私は、マスクのない以前の生活に早急に戻るべきだと考えています。習慣になったマスクの常時着用は健康リスクを高めるため反対です。おのおのが自分自身で考え、自由にマスクを外すべき時期だと思っています。むしろ遅すぎるぐらいです。感染症の実態、心身への悪影響、経済を上向かせるなどの面からも、マスクに縛られず、必要に応じて自由に外して生活を送るべきだと考えています。

私たちは何のためにマスクの着用をしているのでしょうか。これからどうマスクを向き合っていくか、改めて考えてみたいと思います。

マスクを着ける意味を見失った日本人

私は臨床の現場でコロナ陽性となった患者さんにお会いしてきました。

お子さんからもらって検査陽性になった患者さんは数日の発熱で喉が痛む程度でした。明らかに軽症の患者さんばかりです。私の外来では定期通院中の方がカゼ症状を訴えても、よっぽどでないと簡易抗原も行いません。治ればよいのですから検査する必要はありません。