窒息のリスクも見逃せません。不織布マスクは水分がつくと顔に張り付いて呼吸が難しくなる場合があります。水辺でのマスク着用が危険であると言われる理由です(※7)。汗かきの子供たちなら普段から危険性が高いと考えられます。幼児や小児は嘔吐しやすいので、嘔吐物による窒息の可能性もあります。

コミュニケーション障害にしかならない

専門家の感染対策は間違いだらけでした。コロナウイルスはエアロゾル感染であることを厚労省が明記しています(※8)。エアロゾルは空気中を漂う5μm以下の非常に小さな粒子を指します。

小さな粒子は不織布マスクのフィルターを通過しますし、私たちは通常マスクの脇のすきまでから呼吸もしています。人が密でも疎でも、アクリル板やビニールあっても無くてもウイルス粒子は空気中を漂っていました。私たちはマスク着用し専門家の示した対策に協力しましたが、どれも無意味でした。人に盲従するというのはそういうことです。

人は表情を見ながらコミュニケーションをとっています。マスクは障害でしかありません。「口角泡を飛ばす」の「口元がゆるむ」ように感情のやり取りに重要な顔半分が、マスクで隠されてしまいます。マイクロ・エクスプレッションといい、微妙な表情のニュアンスも消されてしまいます。

特に子供たちには大きな負荷をかけることになりました。診察にやってきた保育園の先生が「マスクをはずして絵本を読むとすごく反応がいいんです。子供たちの会話の声も大きくなるんです。マスクをしている間は静かな感じで伸び伸び育たなかったな、と思っています」とおっしゃっていました。子育て中のお母様は子供への負荷を懸念し、「人の目がないときには外させてます」と教えてくれました。

また、マスクの意味が見出せない患者さんは自作のスケスケマスクなどを何枚も作られていました(写真)。付けていればよい腕章やワッペンと同じです。もはやマスクは感染対策にもならないどころか健康を損ない、コミュニケーションの障害物でしかありません。集団内で顔を隠すという、個を失わせて団体行動をとることにしかなっていません。

スケスケのマスク。
筆者撮影
患者さんの自作マスク。

自分で見切りをつけられない人が多すぎる

ご存じの通り海外ではすでにノーマスクが基本になっています。アメリカ野球のMLBやバスケットボールNBAの超満員の試合で、観客がノーマスクであることをご存じの方も多いでしょう。

テニスのジョコビッチ選手は、ワクチン接種をしていないため入国を断られ試合に参加できない事例もありましたが、5月のイタリア国際では見事優勝を果たしました。もちろん観客席の人々はノーマスクです。