「森田一義アワー 笑っていいとも!」は1982年から2014年までの32年も続いた生放送のバラエティー番組である。司会のタモリ(森田一義)はこの番組を続けるために、絶対にやらなかったことがある。ライターの戸部田誠さんは「笑福亭鶴瓶も明石家さんまも『そんなことができるのはタモリしかいない』と驚きを隠さない」という――。
※本稿は、戸部田誠『タモリ学』(文庫ぎんが堂)の一部を再編集したものです。
笑福亭鶴瓶が驚いたタモリのある言動
笑福亭鶴瓶は以前、伊豆にあるタモリの別荘に招待されたことがある。そこにはたくさんの木の切り株があり、座るためのものかと鶴瓶が思っていると、タモリは横で「あ、切ったんだ」とつぶやいた。
実はタモリは10本の古い木を気に入って土地を買い、その木を活かした設計で別荘を建てていた。そして鶴瓶を招待するにあたり、枝を手入れしてもらうつもりで「木、切っておいて」と管理人に連絡をしていたのだ。
しかし管理人は勘違いをし、あろうことか10本の木そのものをすべて切り倒してしまった。「切っちゃったもんは、しょうがない」と執着しないタモリに「普通、怒るでしょ」と呆れる鶴瓶[1]。
さんまが驚愕したタモリの特異性
しかしタモリは「キチンと説明しない自分が悪かった」と逆に鶴瓶をなだめたという[2]。
こうしたタモリの執着のなさには驚嘆させられる。明石家さんまはタモリの特異性として、「われわれのようなお笑い芸人からすると信じられない切り替えの早さ」をあげている。