「考える時間」がなければ、変化もできない

ステージを変えたいのに、なかなかできない。

そんな人に共通するのは「忙しすぎるということだ」と本書に書いています。

脳のメモリが残っていないので、「考える時間」や「考える余裕」がないのです。

私が起業を立て直すとき、こんなことを教わりました。

「自分で仕事をやっていくなら、何よりも先に“考える時間”を確保しなさい」

当時の私は、慣れないSNSの投稿のほか、何時間も、ときには何日もかけて、ブログやメルマガを書いていました。そのほかにも、募集・集客、お客さま対応、会場の予約、講座当日の準備や会場設営も、全部ひとりでやっていました。

そんな目の前のことでいっぱいいっぱいで、考える時間なんてない。すると、だんだん頭打ちになってくるのです。

思うように人が集まらない。何を書いても反応がない……。

そんなとき、当時のメンターに相談したら、先ほどの言葉を言われました。

それで、いったん手を止め、考える時間をまず確保することにしたのです。ほどなくすると、また人が集まってくるようになり、仕事も好調になっていきました。

「限られた時間で何をするか」が人生の質になる

これは、起業に限ったことではなく、自分の未来をつくっていくときも同じ。

先ほどから、「気が乗らない誘いは断ろう」「疲れる人間関係は手放そう」とお伝えしていますが、それは、自分の時間を確保していくために必要なことだからです。

気が乗らないお誘いに付き合うよりも、家でぼ~っとしていたり、昼寝をしていた方が、よっぽど建設的なのです。

ぼ〜っとしたり、昼寝をしたり、なんて言うと、「そんなの予定じゃない」と思ってしまいますが、それは大きな間違い。

予定がないのも、予定のうち。

私たちにとって、何よりも大切なのは、「時間」です。

一日は24時間、一年は365日しかありません。

これだけは、どんなにお金を積んでも増やせるものではありません。

中山ゆう子『わたしは「私」を諦めないことにした』(青春出版社)
中山ゆう子『わたしは「私」を諦めないことにした』(青春出版社)

もちろん、普通電車よりもちょっとお金を払って新幹線を使うことで、目的地に早く到着することはできます。歩くよりタクシーで、一般自動車道より高速道路で。そんなふうに、お金で時間を少し買うことはできます。けれど、一日は24時間、一年は365日。これは変えることができませんよね。

「その限られた時間の中で、何をしていくか」が人生の質になるのです。

だとしたら、「どうしていこうか?」を考えたり、「私は、どんなことが好きなんだろう?」「本当は何をしたいと思っているんだろう?」と思いを巡らせたりする時間は、とても大切なものなのです。

日々のことに流されていたら、そういう時間は後回しになってしまいますからね。

だから、真っ先に「予定を入れない日」を確保する。

人から見たら何の予定もない日だとしても、自分にとっては、今後の生き方や働き方につながる大切な時間なのです。

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