「でも・だって」は印象が良くない言葉だ。それでは、無茶な要求をされたときはどう反論すればいいのか。これまで3000人以上と面談をしてきた起業コンサルタントの中山ゆう子さんは「コミュニケーションの印象がいい人は、まず『肯定』で相手を受け止める傾向がある」という――。
提案するビジネスウーマンの手元
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「でも」「だって」を使う限り、前には進めない

仕事をする上で、人とのコミュニケーションは必要不可欠。そのとき、とても感じのいい応対をする人がいる一方で、「でも」「だって」と否定や言い訳ばかりの人がいます。

私がこれまでに3000人以上の人にコンサルティングをしてきた中で、息をするように「でも」「だって」を使う人は少なくありませんでした。

しかし、その言葉を使っている限り、なかなか前には進んでいかないのです。なぜなら「でも」「だって」に続く内容は、必ずと言っていいほど、

・やらない理由
・できない理由

だからです。

つまり、「でも」「だって」は、相手の提案やアドバイスを「否定する」ために使う言葉。「こうしたらいいですよ」「こんなふうにしてみたら?」と、現状を変えていく手だてをお伝えしても、それを否定し続けている限り、前には進みません。

これは、コンサルタントという私の仕事だけに限らず、あらゆる職場やコミュニティの中で起こっていることなのではないでしょうか?

そこで今回は、

1.「でも、だって」を使ってしまうのはなぜなのか
2.「でも、だって」を使うことでどんな損をしているのか
3.「でも、だって」をどう言い換えたらいいのか

についてご紹介したいと思います。

「D言葉」の裏側で起きていることを知る

1.「でも、だって」を使ってしまうのはなぜなのか

「でも、だって」は、相手の話に対し、とっさに言い訳をするときや、否定・抗議の意をあらわにしてしまうときに使われます。ほかにも似たような言葉で、「どうせ」「ですから(だから)」もありますが、これらは頭文字に「D」がつくことから、「D言葉」と言われるようになりました。

たとえば、

「でも、○○は難しいと思う」
「だって、この前も○○だったよね?」
「どうせ、○○って言われるから……」
「ですから、そうじゃなくて……」

本人は何気なく言っているのかもしれませんが、このような返し方をされた相手は面白くありません。「でも、だって」のコミュニケーションが日常化している人には、相談事はもちろん、話しかけることもやめておこうかな、と思われるようになります。

距離を置ける相手ならよいのですが、職場の上司や部下、あるいは、仕事やコミュニティの中でどうしても関わらなければいけない人など、避けては通れない相手の場合もあるでしょう。

では、どうしたらいいのか?

まずは、「でも、だって」という言葉を使う人の心の中で何が起こっているのか、知っておくことが重要です。

代表的なものは、次の3つ。

1.自分を守りたい(自己防衛)
2.大切に扱ってほしい
3.負けたくない、自尊心が高い

それぞれ解説していきたいと思います。