社会人経験の長い大人でも、迷ったり、うっかり間違ったりしがちな「敬語」。しかし、「その誤りは、あなたの致命的な評価につながります」と指摘するのは、一橋大学名誉教授の野口悠紀雄さんだ。人生に損をしないための敬語のコツを、セブン-イレブン限定書籍『「超」書く技術』より特別公開する──。(第2回/全3回)

※本稿は、野口悠紀雄『「超」書く技術』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

敬語の誤りは決定的…

メールの書き方で最も重要なことなのに、軽視されている「メールをどう書くか」という本が山ほどあります。

そこで強調されているのは、メールを印象的に書いて相手の注目を引こう、などといったことです。そうできればそのほうがよいのですが、これらは、どちらかと言えば程度の問題です。

それに対して、敬語の誤りは決定的です。それにもかかわらず、敬語について書かれたものをあまり見ません。

適切なメールを書くためには、まず敬語の使い方を正しくすべきです。

客から注文を取るウェートレス
写真=iStock.com/DragonImages
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敬語の使い方で生活環境が分かる

敬語にはルールがあります。

ただし、いちいちルールに当てはめて、「これは謙譲語だから使ってもよい」などと判断するのは大変です。感覚として、「これが正しい」とか、「これはどこかおかしい」と感じられるようになる必要があります。

その感覚は、日常生活で正しい敬語を使うことによってしか習得できません。そのため、敬語の使い方を見ていると、その人の生活環境が分かってしまいます

その人が普段どのような言語環境の中で生活しているか、その中での普通の言葉がどのようなものなのかが、現れてしまうのです。